日鉄、買収姿勢崩さず=USスチール従業員にはボーナスも 2024年12月11日 09時55分

日本製鉄本社=東京都千代田区
日本製鉄本社=東京都千代田区

 【ワシントン時事】日本製鉄は10日、米鉄鋼大手USスチールの買収完了後、同社の米従業員に1人5000ドル(約76万円)のボーナスを支給すると発表した。「USスチールの成功と確かな未来に長期的にコミットしていることを示す」と説明している。
 米ブルームバーグ通信によると、バイデン米政権は、買収計画を阻止する方針。日鉄は買収姿勢を崩しておらず、声明で「あらゆる措置を検討し、講じる」と強調、米国での提訴も含め、徹底抗戦の構えだ。
 日鉄によれば、ボーナスの支給対象は管理職を除く非組合員。買収に反対している米労組に対しても、組合員に同額を支給する計画を提示した。欧州の従業員にも1人3000ユーロ(約48万円)を支払い、買収への理解を求める考えだ。
 日鉄は、これまでに総額27億ドルの追加投資や雇用確保などを提案。労組や地元自治体との協議を継続している。組合員の間では買収に賛成する声も少なくない。一方、買収計画にはバイデン大統領、トランプ次期大統領がともに反対を表明、政治問題化している。
 日鉄は声明で、買収計画は「中国の脅威に対抗し、米国の経済と安全保障を強化することになると強調してきた」と指摘。「政治が真の安保上の利益に優先され続けるのは、不適切だ」として、容認するよう訴えた。 

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