コメの民間輸入急増=5月1万トン超、前年平均の125倍 2025年06月28日 05時30分

米カリフォルニア産カルローズ米を100%使用したイオンの「かろやか」=5月13日、東京都港区
米カリフォルニア産カルローズ米を100%使用したイオンの「かろやか」=5月13日、東京都港区

 コメの価格が高止まりする中、民間企業による外国産米の輸入が急増している。財務省が27日公表した貿易統計によると、5月は1万607トンと、昨年の月平均の約125倍に達した。弁当や総菜といった中食や家庭向けで需要があるとみられ、小泉進次郎農林水産相は同日、「米価高騰をこのままにしておいたら、(輸入を)さらに加速化しかねない」と危機感を示した。
 政府はミニマムアクセス(最低輸入量)米として年間約77万トンを無関税で受け入れているが、1キログラム当たり341円の関税を払えば民間企業も輸入できる。民間輸入は近年、年間600~800トン程度で推移してきたが、2024年度は3011トンと前年度から約4倍に急増した。国産米の価格高騰で関税など輸入コストを加味しても外国産米に割安感が出ているためで、25年度は一段と加速している。
 従来はタイやインドからの輸入が多く、日本で栽培が少ないパラパラとした長粒種が主だった。だが、最近は米国が大きく伸びており、5月は約7割を占めた。米国では、日本でよく食べられる短粒種のジャポニカ米に近い中粒種を生産しており、国産米からの切り替えが進んでいる可能性がある。
 外食大手のコロワイドは中食事業の一部で台湾産米の使用を始めた。炊き方を工夫し、国産米と遜色ない味になっているという。流通大手イオンは6月から米国産100%のコメを販売。ホームページ上でコメの特徴などを紹介し、新たな選択肢としての提案に力を入れている。
 小泉氏は「中食、外食業界は外国産米を活用しようと考えている事業者も出てきている」と指摘。「コメ離れを防ぐ、そして外国産がさらに入ってくる状況を食い止めるためにも、米価高騰対策は引き続き緩める状況にはない」と強調した。 

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