イラン攻撃、「米史上最大」=地下核施設狙い、18時間飛行―作戦名「真夜中の鉄つい」・米軍 2025年06月23日

 【ワシントン時事】米軍は22日、イラン核施設3カ所への空爆作戦「真夜中の鉄つい」の詳細を発表した。最大の標的は中部フォルドゥの地下深くにあるウラン濃縮施設。B2ステルス爆撃機や潜水艦を投入し、「デコイ(おとり)」も駆使した「米史上最大のB2攻撃」(ケイン統合参謀本部議長)の内幕の一部が明らかにされた。
 ◇グアムへおとり
 現地時間20日深夜(日本時間21日午後)、中西部ミズーリ州ホワイトマン空軍基地から7機のB2が静かに飛び立った。いずれも米軍保有の地下貫通型の特殊爆弾「バンカーバスター」の中でも最大級の威力を誇る「GBU57」を2発搭載。全長約6メートル、重量約14トンに達し、巨大さゆえ、B2のみが搭載可能で地下60メートルまで届くとされる。
 B2は空中給油を繰り返し、大西洋や地中海を横断。約18時間かけてイランへと向かった。米東部時間21日午後5時(同22日午前6時)ごろ、B2がイラン上空に近づくと、中東近海に展開した米海軍の潜水艦が中部イスファハンの核施設に狙いを定め、20発以上の巡航ミサイル「トマホーク」を発射した。
 この間、別のB2が米領グアムに向けて出発した。ケイン氏は「戦術的奇襲の一環」と指摘し、イランを惑わす「おとり」だったと明言した。
 ◇被害把握に時間も
 イラン時間22日午前2時10分(同22日午前7時40分)ごろ、フォルドゥ、中部ナタンズ上空に到達したB2は約25分間にわたり、核施設を標的に計14発のGBU57を投下。時を待たずして、トマホークがイスファハンの核施設に着弾した。
 米軍は125機を超える軍機を出撃。使用した精密誘導兵器は75発以上に上る。ケイン氏は「砲撃があったとは把握していない」と述べ、米軍機への攻撃はなかったと強調した。米メディアによれば、米国は事前にイスラエルに、イランの防空システムを空爆するよう要請していた。
 ホワイトハウスが公表した写真では、トランプ大統領が「MAGA(米国を再び偉大に)」のロゴが入った帽子をかぶり、シチュエーションルーム(作戦司令室)で安全保障担当閣僚らと作戦を指揮。21日夜の演説では「華々しい軍事的成功を収めた」と強調した。
 トランプ氏はイラン核施設が「完全に破壊された」と主張する。だが、国際原子力機関(IAEA)のグロッシ事務局長は「現時点では誰も被害を評価できる立場にはない」と述べており、作戦成功の判断には時間を要するとの見方が多い。 

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