〔NY石油〕WTI3日ぶり反落、62.56ドル(20日) 2025年05月21日 04時46分

 【ニューヨーク時事】20日のニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物相場は、地政学的な不透明感がくすぶる中を、3営業日ぶりに反落した。米国産標準油種WTIの中心限月6月物の清算値(終値に相当)は前日比0.13ドル(0.21%)安の1バレル=62.56ドルだった。7月物は0.11ドル安の62.03ドル。
 イランの最高指導者ハメネイ師は20日の演説で、同国の核問題を巡る米国との交渉について「実を結ぶとは思わず、どうなるか分からない」と懐疑的な見方を表明。両国の核合意への期待が後退する中、相場は買い先行となる場面がみられたものの、売りに押された。直近発表された軟調な中国の経済指標を受けた需要減速懸念も相場を下押した。
 一方、ロシアとウクライナの停戦を巡る先行き不透明感も強く、原油の下値は堅かった。ロシアのプーチン大統領との電話会談でウクライナでの即時停戦を迫ったトランプ米大統領は19日、停戦交渉が暗礁に乗り上げていることを示唆。今後も進展がなければ仲介から離脱すると警告した。一方、欧州連合(EU)は20日、ウクライナへの侵攻を続けるロシアに対し、新たな制裁を科すことで合意。ロシア産原油の輸出に使用されている「影の船団」について、189隻のタンカーが新たな制裁対象となった。
 そのほか、ロイター通信は20日、業界筋の話として、石油輸出国機構(OPEC)加盟国とロシアなど非加盟産油国で構成する「OPECプラス」のメンバーで、超過生産を続けているカザフスタンの5月の石油生産が前月比2%増になっていると報じた。
 ▽ガソリン=反発。中心限月6月物の清算値は1.33セント高の1ガロン=215.21セント。
 ▽ヒーティングオイル=4営業日ぶりに反発。6月物の清算値は0.12セント高の1ガロン=212.89セント。

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