BRICS議長、トランプ関税に「懸念」=共同声明は不採択―外相会議 2025年04月30日 07時01分

【サンパウロ時事】ブラジル・リオデジャネイロで開かれた新興国グループ「BRICS」外相会議は最終日の29日、トランプ米大統領の高関税政策を念頭に貿易保護主義によって「世界経済の不確実性が高まる」との懸念を示した議長声明を発表して閉幕した。グローバルサウス(新興・途上国)を代表する形で「多国間主義」を訴えるBRICSとして、「米国第一」を掲げるトランプ氏の政策を容認しない姿勢を打ち出した。
ただ、当初目指していた共同声明は、加盟国間の意見調整が難航して採択できなかった。地元メディアによると、最近加盟した一部のアフリカ諸国が、国連安保理改革を巡る文言に難色を示した。影響力を高めるために急速な拡大にかじを切ったBRICSにとって、負の側面が浮き彫りとなった。
声明はトランプ氏を名指ししなかったが、同氏が導入した相互関税などの措置を「正当化できない一方的な保護主義的政策」として懸念を表明。「自由貿易を守る」ように呼び掛けた。世界貿易機関(WTO)が貿易ルールを決める「唯一の多国間機関」と見なした上で、保護主義や一方的な措置に対応できるようにするためWTOを強化する必要があると述べた。
声明は、保護主義が気候変動に対する行動を危うくしかねないとも指摘。ブラジルで11月に開かれる国連気候変動枠組み条約第30回締約国会議(COP30)に向けて、途上国の温暖化対策に充てる資金支援の上積みを目指す同国の取り組みを支持した。
また、ロシアによるウクライナ侵攻をはじめとする「世界の多くの地域で続く紛争」などにより、「世界的に軍事費が急激に増加し、開発のための十分な資金確保が損なわれている」と強調した。