反米色薄め結束維持=「多国間主義」の死守宣言―拡大路線で調整複雑化・BRICS首脳会議 2025年07月07日 14時25分

【リオデジャネイロ時事】ブラジル・リオデジャネイロで開かれている新興国グループ「BRICS」首脳会議は6日、「多国間主義」の死守を打ち出した宣言を採択した。グループを主導する中国の習近平国家主席、ロシアのプーチン大統領という「2トップ」が不在の中、議長国ブラジルは宣言の反米色を薄めることで、加盟国の結束を維持した形だ。
「多国間主義が攻撃されている」。首脳会議の冒頭、ブラジルのルラ大統領は危機感をあらわにした。BRICSはもともと、米欧主導の国際秩序への対抗軸形成を目指す中ロと、新興・途上国「グローバルサウス」の影響力を高めたいインドやブラジルが結集して誕生した。近年はグループ拡大にかじを切り、現在の加盟国は10カ国。世界人口の約半分、世界の国内総生産(GDP)の4割を占める。
ただ、グループ拡大は加盟国間の温度差が表面化することと表裏一体だ。ブラジルは今回の宣言で多国間主義を前面に掲げ、複雑に利害が絡み合う加盟国をまとめる軸とした。
宣言は、多国間主義を守るために国際機関を改革すべきだと提唱。特に機能不全が指摘される国連安保理について、「アフリカ、アジア、中南米の新興・途上国の正当な願望を支持する」と常任理事国入りを後押しした。ただ、最近加盟したアフリカ勢への配慮から、具体的国名には言及しなかった。
イラン攻撃への対応でも、足並みをそろえるのに苦心した。先月の共同声明は「強い懸念」を示したが、攻撃を仕掛けたイスラエルや米国を名指しすることは回避。米国と良好な関係を保つインドなどの意見を反映したためだ。だが、イランはこれに不満を示し、今回の宣言には攻撃を「非難する」という文言が加わった。
1月に発足した第2次トランプ米政権が世界を振り回す中、中ロにも米国との対立激化を避けたい事情があった。プーチン氏は、ウクライナ情勢を巡ってトランプ大統領と電話会談を重ねている。中国も対米貿易で協議を続けており、過度にトランプ氏を刺激するのは得策でないと判断したとみられる。