被災者、避難所退去迫られる=生活再建見通せず―ミャンマー大地震3カ月 2025年06月27日 14時41分

避難所からの退去を求められている被災者ら=24日、ミャンマー中部マンダレー
避難所からの退去を求められている被災者ら=24日、ミャンマー中部マンダレー

 【バンコク時事】ミャンマー中部を震源とする大地震は、28日で発生から3カ月。被災地では自宅に住めなくなった市民らが、避難所からの退去を迫られている。収入が途絶えて自宅の解体費用を支払えず、生活再建の見通しが立たない中、被災者にとって困難な状況が続いている。
 3月28日に発生したマグニチュード(M)7.7の地震は、ミャンマー第2の都市マンダレーや北部ザガイン地域などに甚大な被害をもたらした。クーデターで実権を握る国軍などによると、日本人1人を含む3700人以上が死亡、5100人以上が負傷した。
 今月24日にマンダレー入りした時事通信の通信員によれば、現地では多くの建物が倒壊したままの状態で残っている。消防担当者は「被災者は財産を失い、建物の解体やがれきの撤去も費用が高額なため困難だ」と指摘した。
 市内の寺院に設けられた避難所。7月に仏教行事で僧侶らが集まるため、約600人の被災者は7月5日までに退去するよう求められた。夫や息子ら家族4人で身を寄せる女性タウンティンさん(56)は「自宅は被災したので、竹と防水シートでテントを建てるしかない」と困り顔。地震前は食料品店を営んでいたが、「資金がなく再開できない。今は義援金で生活している」と訴えた。
 ザガイン地域では今月25日、約900人が暮らす広場の避難所で女性のティンポーさん(73)が取材に応じた。軍事政権が開設した避難所は6月末に閉鎖される予定。「倒壊した自宅のがれきはボランティアが撤去してくれたが、高齢の私たちでは支援がなければ再建できない」と嘆いた。
 世界銀行によると、大地震に伴うミャンマー国内の建物やインフラへの損害は推定110億ドル(約1兆5900億円)。2025年度の国内総生産(GDP)は2.5%減少すると予測され、経済悪化で避難民を中心に貧困層が拡大する恐れがある。 

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