インド、ロシア産原油買い支え=実利追求、ハイテク製品も供給 2025年02月21日 14時23分

握手を交わすインドのモディ首相(左)とロシアのプーチン大統領=2024年7月、モスクワ(EPA時事)
握手を交わすインドのモディ首相(左)とロシアのプーチン大統領=2024年7月、モスクワ(EPA時事)

 【ニューデリー時事】インドはウクライナに侵攻したロシアから原油購入を拡大してきた。伝統的な友好関係にあるだけでなく、急増する自国のエネルギー需要をより安価に満たすという実利を追求した結果だ。インドは西側諸国が対ロ輸出を規制するハイテク製品の供給地にもなっているようだ。
 インド商工省によると、原油の総輸入額に占めるロシア産の割合は2021年に約2%だったのが、侵攻が始まった22年は同13%に急増。23年は同32%となり、ロシアが最大の輸入先に浮上した。西側の経済制裁で買われなくなった同国産の価格が下落。割安となったことが大きい。
 昨年12月には、ロシアの国営石油会社が製油業も手掛けるインドの複合企業リライアンス・インダストリーズに日量50万バレル近い原油を供給することで合意したと報じられた。両国間のエネルギー取引として過去最大規模だ。
 西側からは、ロシアの戦時経済を事実上支えていると批判されてきた。しかし、インドは意に介さない。ジャイシャンカル外相は昨年11月、イタリア紙のインタビューで、各地域には固有の利害や関心があると強調。「あなたたち(欧州)を喜ばせるためだけに高い価格で買うべきなのか」と反発した。
 ロシアは原油輸出と引き換えに得たインド通貨ルピーで、同国からハイテク機器を購入しているもようだ。貿易統計によると昨年以降、コンピューターやハードウエア周辺機器のロシア向け輸出が急増している。軍事転用可能な先端技術がインド経由でロシアに渡ったケースもある。
 米ブルームバーグ通信によれば、モスクワで創業し、インドの商都ムンバイに拠点を置く製薬会社が昨年4~8月、米パソコン大手デル・テクノロジーズの最先端サーバー1111台をロシアに輸出していた。
 出荷されたサーバーの大半には米エヌビディア製の最新半導体が搭載されていたという。これらのサーバーや半導体は米国や欧州連合(EU)がロシア向け輸出を制限。しかしインド向け輸出は制限されていないため抜け道となっており、懸念が広がっている。 

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