中国、ウクライナ和平関与に焦り=米ロ接近警戒、欧州を後押し 2025年02月21日 14時10分

【北京時事】中国の習近平政権は、ロシアとウクライナの仲介役に意欲を示し、和平交渉への関与を狙っている。「大国」としての存在感を示すとともに、戦後のロシアや欧州への影響力を保持する思惑とみられるが、現状は蚊帳の外だ。早期停戦を目指すトランプ米政権とロシアの急速な接近への警戒感もあり、中国側の動きには焦りもにじむ。
「戦争は欧州で起きている」。中国の王毅共産党政治局員兼外相は14日、ドイツで開かれたミュンヘン安全保障会議で登壇し、「欧州が和平に向けて役割を果たすべきだ」と訴えた。
念頭にあるのは、ウクライナや欧州の頭越しにロシアと直接交渉を進めるトランプ大統領の存在だ。王氏は会議期間中、ウクライナや独仏の外相に加え、習政権が敵視する北大西洋条約機構(NATO)のルッテ事務総長とも会談。和平に向けた中国の貢献を訴えるとともに、欧州の積極的関与を促した。
北京のシンクタンクの研究員は、紛争の当事国ではない中国が交渉に関わるには、いずれかの国に「招待」してもらう必要があると指摘。ロシアとウクライナ、米国に加え、欧州まで参加国・地域が広がれば、中国が招かれる可能性も高まると分析した。
米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは今月、中国が過去数週間、トランプ政権にロシアと首脳会談を行うよう働き掛けていたと報じた。停戦後の平和維持活動に参加する意向も示したもようだ。
侵攻後の3年間、中国はロシアからの資源購入や軍民両用品の対ロ輸出を通じてプーチン政権を下支えしてきた。ロシアが経済・安保両面で対中依存を深めている現状は、中国にとって「好都合」(北京の識者)だ。習政権は、米ロの接近が進むことで、中ロの「蜜月」にくさびが打ち込まれる事態を懸念する。
習国家主席は5月、ロシアの対独戦勝記念日に合わせてモスクワを訪問、プーチン大統領も9月の抗日戦勝記念日を機に訪中する予定。「戦勝80年」という共通の歴史を絡め、対米共闘の観点から中ロの結束を誇示する方針だ。