〔NY金〕続伸、3349.80ドル(1日) 2025年07月02日 04時07分

 【ニューヨーク時事】1日のニューヨーク商品取引所(COMEX)の金塊先物相場は、米財政赤字拡大や関税交渉停滞への警戒感から安全資産への資金逃避が加速し、続伸した。中心限月8月物の清算値(終値に相当)は、前日比42.10ドル(1.27%)高の1オンス=3349.80ドル。
 米連邦政府債務の拡大懸念を背景としたドルの軟調地合いが続く中、朝方の相場は一時3370ドル付近まで上昇。トランプ米大統領が目玉政策に掲げる大型減税を盛り込んだ法案は午後、僅差で上院を通過した。また貿易交渉を巡り、ベセント米財務長官が前日、「頑固なために合意できなければ関税率は戻る」と相手国をけん制。相互関税の上乗せ分が再び発動されることへの警戒感も金買いを後押しした。
 しかし、この日発表された一連の米経済指標は堅調な内容が目立ち、相場はあと上げ幅を縮小。S&Pグローバルと米サプライ管理協会(ISM)が発表した製造業購買担当者景況指数(PMI)はともに前月から改善し、雇用動態調査(JOLTS)では非農業部門の求人数が半年ぶりの高水準を記録した。
 市場はこのほか、欧州中央銀行(ECB)主催会合でのパウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長の発言に注目。同氏は「米経済が堅調な限り」慎重に動向を見守る意向を改めて強調した一方、7月末の連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ検討が早すぎるとは言えないとの見方を示した。ただ、金融緩和の方向性は確認されたものの、なお利下げ再開の時期ははっきりせず、市場の反応は限定的だった。

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