〔東京外為〕ドル144円台後半=米中協議期待で急伸後は伸び悩む(10日午後5時) 2025年06月10日 17時08分

 10日の東京外国為替市場のドルの対円相場(気配値)は、米中貿易協議の進展期待などから、一時1ドル=145円台前半に急伸した。ただ、買い一巡後は利食い売りなどで伸び悩んだ。午後5時現在は、1ドル=144円72~74銭と前日(午後5時、144円12~14銭)比60銭のドル高・円安。
 前日の海外市場で、欧州時間序盤は米長期金利の低下に伴い144円近辺まで下落。米金利の持ち直しにつれて反転し、米国時間の序盤には144円70銭台まで上昇した。ニューヨーク連銀による5月の消費者調査で1年先の期待インフレ率が3.20%と前月から急低下すると144円30銭前後に下落。終盤は144円50銭台に戻した。
 東京時間午前は序盤、144円30銭台に小緩んだが、仲値公示に向けては五・十日に伴い「国内輸入企業のドル買い・円売りが優勢だった」(外為仲介業者)といい、144円60銭台を回復。その後はドル買いが強まり、一時145円30銭前後まで急伸した。
 米中協議の進展期待で米株価指数先物や日経平均株価の上昇とともにドルが買われ、節目の145円を抜けるとストップロスを巻き込んだという。植田和男日銀総裁が国会で「基調的物価上昇率はまだ2%に少し距離がある」と述べたことも円売り材料になった。
 ただ、午後は売り優勢に転じた。「145円台で定着できずに押し戻されたことで上値の重さが意識され、利食い売りが強まった」(FX業者)といい、144円40銭前後まで値を下げた。欧州勢が参入し始めた終盤は144円80銭前後まで買い戻された。
 ユーロは対円で上昇、対ドルでは下落。ユーロ円は一時1ユーロ=165円40銭台と、約7カ月ぶりの高値を付けた。午後5時現在は、1ユーロ=164円87~90銭(前日午後5時、164円62~65銭)、対ドルでは1.1391~1391ドル(同1.1423~1423ドル)。

市況・概況