〔NY石油〕WTI続伸、63.41ドル=3週間ぶり高値(3日) 2025年06月04日 05時18分
【ニューヨーク時事】3日のニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物相場は、ウクライナ情勢や米イランの核協議を巡る地政学リスクへの警戒感を背景に続伸した。米国産標準油種WTI7月物の清算値(終値に相当)は前日比0.89ドル(1.42%)高の1バレル=63.41ドルと、中心限月の清算値ベースで5月中旬以来、3週間ぶりの高値となった。8月物は0.94ドル高の62.48ドルだった。
ウクライナのゼレンスキー大統領は週末、同国保安局(SBU)主導で、ロシア各地の空軍基地にドローン攻撃を行ったと認めた。SBUは3日には、ロシアが併合したクリミア半島とロシアを結ぶクリミア橋の基礎部分を爆破したと明らかにするなど、両国の戦闘に沈静化の兆しは見られない。2日に行われた今年に入り2回目となる両国の直接協議でも、長期化した侵攻の停戦に関して具体的な進展はなかった。ロイター通信によると、ロシア側が戦争終結に向けウクライナと合意に至る作業は極めて複雑で、拙速に決定すべきではないとの見解を示した。地政学的リスクへの警戒感から原油の買いが先行し、相場は一時64ドル台に迫った。
石油輸出国機構(OPEC)加盟の主要産油国イランと米国の核協議を巡る不確実性も相場の支援要因。米ニュースサイト「アクシオス」が2日報じたところによると、イラン核開発を巡り、米国がイランに低レベルのウラン濃縮活動を限定的に容認する案を示した。米側はこれまで、イランによるウラン濃縮活動の完全停止を求めてきたが、イランは強硬に反発。米国の譲歩に対して、イランが応じるかは不透明で、対イラン制裁措置にどう影響するか注視されている。
▽ガソリン=続伸。中心限月7月物の清算値は2.63セント高の1ガロン=207.88セント。
▽ヒーティングオイル=続伸した。7月物の清算値は5.54セント高の1ガロン=209.99セント。