〔NY外為〕円、144円近辺(30日) 2025年05月31日 07時00分

 【ニューヨーク時事】週末30日のニューヨーク外国為替市場では、トランプ米政権の関税政策を巡る懸念が強まる中、円買い・ドル売りが優勢となり、円相場は1ドル=144円近辺に上昇した。午後5時現在は143円98銭~144円08銭と、前日午後5時(144円12~22銭)比14銭の円高・ドル安。
 トランプ米大統領はこの日のSNSへの投稿で「中国は米国との合意を完全に破った」と主張。中国との貿易交渉が停滞していることにいら立ちを示したとみられる。米国の連邦巡回区裁判所は29日には、国際貿易裁判所が相互関税などの差し止めを命じた決定について、執行を一時的に停止する判断を下していた。通商政策の先行き不透明感が改めて意識され、安全資産とされる円を買ってドルを売る動きが加速し、円は朝方に143円台にレンジを切り上げた。ただ、その後は持ち高調整の円売りも出た。
 この日発表された経済指標は強弱入り交じる内容だった。米商務省が朝方発表した4月の米個人消費支出(PCE)物価指数は、前年同月比2.1%上昇(前月2.3%上昇)となった。上昇率は昨年9月以来7カ月ぶりの低水準。価格変動が激しいエネルギーと食品を除いたコア指数は2.5%上昇(前月2.7%上昇)と、市場予想と一致した。インフレの落ち着きを示す結果となったが、市場の反応は限定的だった。
 米ミシガン大学が午前発表した消費者調査によると5月の景況感指数(確報値)は52.2と市場予想(51.0)を上回った一方、経済情報会社MNIインディケーターズが30日発表した5月のシカゴ景況指数(PMI、季節調整済み)は40.5と、前月から低下。ロイター通信の市場予想も下回った。
 日系証券筋は「米政権の関税政策が二転三転する中、ドル需要が弱含んでいる」と指摘。海外企業が米企業との安定的な商取引継続に疑念を抱く要因となっていると語った。
 ユーロは同時刻現在、対ドルで1ユーロ=1.1344~1354ドル(前日午後5時は1.1360~1370ドル)、対円では同163円38~48銭(同163円86~96銭)と、48銭の円高・ユーロ安。

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