〔東京外為〕ドル、144円付近=米関税政策警戒で大幅下落(30日午後5時) 2025年05月30日 17時28分

 30日の東京外国為替市場のドルの対円相場(気配値)は、トランプ関税政策への警戒感が再燃したことで、1ドル=144円付近へ大幅下落した。前日の東京時間に急伸した反動の売りも出たとみられる。午後5時は、144円04~05銭と前日(午後5時、145円26~26銭)比1円22銭の大幅ドル安・円高。
 前日の米国市場で、週間新規失業保険申請件数が4週ぶりに悪化したことによる長期金利低下を眺めて終盤には143円90銭台まで水準を切り下げた。東京市場の午前は、午前8時半に発表された消費者物価指数で食料品部門の弱い結果を受けて大幅安となった日経平均株価を嫌気して、143円40銭台に下落。正午に向けては、買い戻され、144円近辺に回復した。午後は、材料難の中、赤沢経済再生担当相とベセント米財務長官の日米貿易交渉を控えた様子見ムードが広がり、143円70~90銭台でこう着していたが、午後4時以降は欧州市場の月末フローによって買い戻され144円台付近へ上昇した。
 米国の連邦巡回区控訴裁判所は29日、国際貿易裁判所が相互関税などの差し止めを命じた決定について、執行を一時的に停止する判断を下した。市場関係者は「先行きの不透明感が一気に再燃し、ドル売りに転換した」(外為仲介業者)という。また、前日は日経平均株価上昇に伴うドル買いが多くあり、「反落しやすい地合いだった」(資産運用会社)という点も売りを先行させた。
 きょうは欧米時間に日米関税交渉がある。「週明けにかけて交渉結果を受けた値動きがみられる」(FX業者)と予想する声が聞かれた。
 ユーロは対円で下落、対ドルで上昇。午後5時は、1ユーロ=163円28~37銭(前日午後5時、163円79~81銭)、対ドルでは1.1337~1343ドル(同1.1275~1276ドル)。

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