【2025年3月18日~19日】総裁定例記者会見(一部抜粋・要約) 2025年03月21日 17時05分

総裁記者会見一部抜粋・要約(2025年3月21日)

1.今回の金融政策決定会合の内容について

  • 無担保コールレート・オーバーナイト物を0.5%[程度]で推移するよう促すという調整方針の維持を全員一致で決定
  • 【経済】わが国の景気の現状については、一部に弱めの動きもみられるが緩やかに回復していると判断した。先行きは潜在成長率を上回る成長を続けると考えられる。
  • 【物価】生鮮食品を除く消費者物価の前年比は、足元は 3%台前半となっている。先行きの消費者物価については、徐々に高まっていくと予想される。展望レポートの見通し期間後半には、物価安定の目標と概ね整合的な水準で推移すると考えている。
  • 【リスク要因】各国の通商政策等の動きや、その影響を受けた海外の経済・物価動向、資源価格の動向、企業の賃金・価格設定行動など、わが国経済・物価を巡る不確実性は引き続き高い。特にこのところ、企業の賃金・価格設定行動が積極化するもとで、過去と比べると、為替の変動が物価に影響を及ぼしやすくなっている面があると考えている。

2.春闘の賃上げの受け止めについて

  • 先週明らかになった連合の第一次集計結果では、春季労使交渉における賃上げ率は5.46%と、昨年に引き続き高水準となった。また、集計結果では、大企業だけでなく、相対的に規模が小さい企業でも、高めの賃上げ率が実現しており、賃上げの動きが広がってきていることも窺われる。
  • 今回公表された結果は、1月会合時点での見通しに概ね沿ったものと評価している。もちろん、中小企業の中には、これから本格的な賃上げ交渉を行う先も少なくなく、今後とも賃金動向については丁寧に確認していく必要がある。

3.足元の物価動向について

  • 1月の生鮮食品を除く消費者物価の前年比は3.2%と伸び率をやや高めている。また、国内企業物価の前年比も4%程度の伸びとなっており、こうしたことが国民生活にマイナスの影響を与えていることは十分に認識している。
  • こうした物価動向、特に最近の消費者物価の前年比には、政府によるエネルギー負担緩和策の縮小に加え、米価格の上昇が影響している。米を含む食料品などの価格上昇は、それ自体は天候要因等を背景とするものだとしましても、家計のマインドや予想物価上昇率の変化を介して基調的な物価上昇率に二次的な影響を及ぼし得る点は認識しておく必要があると考えている。
  • 現時点では、こうした点を踏まえても、基調的な物価上昇率については、徐々に高まってきているが、なお2%を下回っているという認識に変わりはない

4.トランプ米政権の高関税政策について

  • ここひと月くらい、割と急速にアメリカの関税政策決定のスピードのようなものが急速に広がったり、上昇していると感じている。それにもかかわらず、まだ4月にならないと分からない、あるいはその後もいろいろ不確実性が続くということで不確定なところは非常に大きいというふうに思っている。
  • いずれにせよ、こうしたまず通商政策がどういう姿になるかということを見極め、それから、それがまず、アメリカ経済、世界経済に及ぼす影響、そしてそれを通じて、あるいはより直接に貿易のルートを通じて日本経済に及ぼす影響もあるが、これらを見極めたうえで、わが国の、インフレ・経済見通しにどういう影響を及ぼすかということを精査して、政策を決めていくというスタンスに変わりはない

5.大規模緩和を解除して1年になることについて

  • 政策全般としては、ここ1年間いろいろなことがあったが、少しずつ基調的物価上昇率が2%に収束するという確度が高まるもとで、それに応じた適切な緩和度合いの調整を進めることができたというふうに考えているし、国債買入れの減額も予定通り進んでいるというところだと思う
  • 今後ついては、国債買入れ減額は6月に中間評価を行う予定なので、そこで市場の機能度の回復度合いを含めて、これまでの経験を振り返り、適切な評価をして、必要があれば修正をしたうえで、先に進みたいと考えている
  • ETFについては、もう少し時間を頂いて適切な処分の方法を引き続き考えたいと思っている


[ゴールデン・チャート社]

■関連リンク

FED&日銀ウォッチ

主要各国の金融政策スケジュール

■参考資料(外部サイト)

総裁記者会見要旨(2025年3月18日、19日開催分)(日本銀行)

金融政策決定会合の運営(日本銀行)