製造業景況感、2期ぶり小幅改善=価格転嫁寄与、トランプ関税重し―6月日銀短観 2025年07月01日 09時05分

日銀が1日発表した6月の全国企業短期経済観測調査(短観)によると、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)は大企業製造業でプラス13となり、3月の前回調査から1ポイント改善した。改善は2四半期ぶり。トランプ米政権の高関税政策の影響による不確実性の高まりが下押し要因になったが、原材料費や人件費などコスト上昇分の価格転嫁の進展が寄与した。
トランプ政権による自動車への追加関税や相互関税の発動後初の短観となり、大企業製造業の自動車はプラス8(前回プラス13)と3期ぶりに悪化。一方、原材料価格が低下した鉄鋼は、マイナス3(同マイナス18)と大きく改善した。
米政権は3月、鉄鋼・アルミニウムに25%の追加関税を発動し、6月には50%に引き上げたが、日銀は影響について「さほど聞かれなかった」と説明。関税の悪影響が全業種で見られたわけではなかった。ただ、先行きでは「懸念が幅広い業種で聞かれた」という。
大企業非製造業はプラス34(前回プラス35)と2期ぶりに悪化。物価高による消費減少への懸念や人手不足による工期の長期化などが響いた。また、インバウンド(訪日客)消費の下振れもあり、小売りや宿泊・飲食サービスがいずれも悪化した。
DIは業況が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」を引いて算出する。
このほか、大企業製造業では、紙・パルプがプラス29(同プラス18)に改善した半面、米関税の影響で汎用(はんよう)機械はプラス23(同プラス27)、生産用機械はプラス15(同プラス17)に悪化した。
中小企業では製造業がプラス1(前回プラス2)と5期ぶり、非製造業がプラス15(同プラス16)と4期ぶりにそれぞれ悪化した。
先行きの景況感は、大企業製造業はプラス12、非製造業はプラス27といずれも悪化を見込む。