自公、裏金・消費税ぎくしゃく=参院選「政治の安定」訴えも 2025年06月27日 19時41分

参院選(7月3日公示、20日投開票)を控え、自民、公明両党がぎくしゃくしている。派閥裏金事件に関係した自民候補を公明が推薦する動きは止まったままで、争点となる物価高対策でも本音の食い違いが露呈。与党は参院選を「政権選択選挙」と位置付けるが、選挙後は連立政権の枠組みを巡るあつれきが生じる可能性もある。
石破茂首相(自民総裁)と公明の斉藤鉄夫代表は27日、首相官邸で会談し、参院選で与党として非改選(75議席)と合わせて過半数(125議席)維持を目指すことで一致した。昼食を共にしながら約45分間に及んだ会談について、斉藤氏は「連立与党の心合わせが目的だ」と強調した。
その「心合わせ」とは裏腹に、自公間の懸案を巡って突っ込んだやりとりはなかった。とりわけ「裏金」候補への推薦の扱いについては「話題に上がらなかった」(斉藤氏)という。
公明は、自民派閥の政治資金パーティー収入の不記載問題が発覚した現職3人の推薦を4月に決定。これに対し公明内では、昨年の衆院選での「裏金議員」推薦が大敗の原因とされることから地方議員らが猛反発。執行部は急きょオンライン会議で釈明に追われた。
参院選公示まで1週間を切る中、これに懲りた格好の公明は、残る「裏金」候補への推薦を棚上げ。斉藤氏は27日、報道各社のインタビューに「厳しい基準で検討したい」と説明するにとどめ、自民幹部は「これ以上は求めない」と推薦見送りを示唆した。公明関係者は「当然、比例代表での自民からの支援も期待は薄れる」と漏らした。
物価高対策でも歩調はそろわない。公明は公約に、軽減税率の対象となる食料品の消費税率を8%から5%に引き下げる案を一時検討したものの自民執行部の強い反対を受けて断念。それでも公約とは別に今後の検討テーマとする「重要政策課題」と位置付け、なお含みを残した。自民からは「現実に目を向けてほしい」(ベテラン)と不満を買っている。
与党は「自公政権こそ政治の安定につながる」とアピールする考えだ。ただ衆院で過半数に届かない少数与党の状況は参院選後も変わらないことから、連立の枠組み拡大の議論が必要との見方は自公内に根強い。首相が、通常国会で本予算に賛成した日本維新の会の前原誠司共同代表とのパイプを重視するのに対し、公明は関西で維新と対立関係にあるなど、自公の立場は一致しない。
自民幹部は「いつまで公明と連立を組んでいるかも分からない」と公明をけん制した。
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