AI学習で書籍利用、米メタも勝訴=米新興企業に続き―著作権侵害訴訟 2025年06月27日 18時25分

米メタ(旧フェイスブック)本社前に掲示されたロゴマーク=2022年、米カリフォルニア州メンロパーク(AFP時事)
米メタ(旧フェイスブック)本社前に掲示されたロゴマーク=2022年、米カリフォルニア州メンロパーク(AFP時事)

 【シリコンバレー時事】生成AI(人工知能)を開発する米メタ(旧フェイスブック)が学習に書籍を無断利用したとして、作家が同社を著作権侵害で訴えていた訴訟で、米カリフォルニア州の連邦地裁は25日、原告の訴えを退けた。米新興企業アンソロピックに続く開発者側の勝利。ただ、両社が米著作権法に基づき合法性の根拠とした「公正利用(フェアユース)」の原則に関する二つの司法判断はそろっておらず、AI学習と著作権を巡る論争は続く見通しだ。
 AIの性能向上には、膨大な学習データが必要となる。多くの開発企業が著作物を無断で学習させ、裁判に直面している。メタとアンソロピックはそれぞれ、調査・研究など特定の目的であれば許可なく著作物を利用できる「公正利用」に当たると主張したが、二つの訴訟で地裁の解釈は分かれた。
 カリフォルニア州連邦地裁は23日、アンソロピックの訴訟について、同社が購入した書籍を電子化し学習させた行為は「公正利用」に該当するとの判決を下した。著作権侵害の訴えを起こした原告の主張について、担当判事は「小学生によく書けるよう訓練すれば、競合作品が急増するという不満と変わらない」と切り捨てた。
 一方、メタが勝訴した今回の裁判で担当判事は、AI学習が合法だとした同社の主張を「支持するものではない」と慎重な見方を示した。「『公正利用』は通常、著作物の収益を著しく損なう複製には適用されない」と述べ、原告がこの点を十分に立証できなかったことが勝訴判決の主な理由だと説明した。
 生成AIと著作権に関する議論は日本を含む世界各国で活発化しており、先行した判例が他の訴訟に影響を及ぼす可能性もある。 

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生成AIを開発する米新興企業アンソロピックのロゴ(ロイター時事)
生成AIを開発する米新興企業アンソロピックのロゴ(ロイター時事)

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