豪とイスラエル、ビザ取り消しで応酬=パレスチナ国家承認巡り対立 2025年08月20日 16時57分

【シドニー時事】オーストラリアとイスラエルが互いに相手国の公人のビザを取り消す応酬を繰り広げている。根底には、豪政府がパレスチナを国家承認する方針を表明したことを巡る対立がある。イスラエルのネタニヤフ首相がアルバニージー豪首相を「弱い政治家」とののしり、関係はますます険悪化している。
豪政府は11日、来月の国連総会でパレスチナを国家として承認する方針を表明した。これに抗議するユダヤ系の集会でイスラエル極右政党の国会議員シムチャ・ロスマン氏が講演を予定していたが、豪政府は18日、「分断をあおる」として渡航ビザを取り消した。
イスラエル政府は対抗措置として、パレスチナ自治区に駐在する豪外交団のビザを取り消した。ネタニヤフ氏は19日、X(旧ツイッター)で、「アルバニージーはイスラエルを裏切り、豪州のユダヤ人を見捨てた弱い政治家だと歴史は記憶するだろう」と激しく非難した。
アルバニージー氏は挑発には乗らず、20日の記者会見で「われわれは他国の指導者に敬意を示し、外交的に対話する」と述べた。その上で「暴力の連鎖を止めたいし、紛争を国内に持ち込みたくない」と主張した。5月の総選挙で与党・労働党が圧勝したことや、パレスチナ自治区ガザの紛争停止を求める国内世論が高まっていることを背景に、豪政権は強気の姿勢を貫く構えだ。