ガザ3地域で作戦一時停止=飢餓批判に対応、食料投下も実施―イスラエル 2025年07月27日 17時48分

27日、パレスチナ自治区ガザ最南部ラファで、食料を運ぶ人々(AFP時事)
27日、パレスチナ自治区ガザ最南部ラファで、食料を運ぶ人々(AFP時事)

 【カイロ時事】イスラエル軍は27日、パレスチナ自治区ガザで続けるイスラム組織ハマスの掃討作戦に関し、ガザの3地域で時間を区切って作戦を一時停止すると発表した。国際社会で「ガザで飢餓が発生している」と批判が高まる中、イスラエルも対応を余儀なくされた形だ。
 作戦一時停止は国連によるガザでの支援物資配給を可能にするための措置。軍の発表によると、27日からガザ北部のガザ市、中部デイルバラ、南部マワシの3地域で午前10時~午後8時の間、攻撃を停止する。午前6時~午後11時まで国連や人道支援団体のための安全な運搬ルートも設ける。
 また、軍は27日未明、ガザ上空から食料支援物資を投下したと公表した。
 イスラエル軍の攻撃が続くガザでは食料不足が深刻化し、現地からの報道では、住民が栄養失調で死亡する事例が相次いでいる。イスラエルは飢餓を巡り「ハマスのプロパガンダ」だと訴えるが、国際社会の批判が拡大。イスラエルメディアは、米国の圧力を受けてイスラエルが人道支援拡大を受け入れたと伝えた。
 国連の配給には食料に加え医薬品も含まれるもよう。ガザと境界を接するエジプト東部ラファでは物資を積んだトラックが続々と移動を開始した。
 イスラエルは3月から5月中旬までガザへの物資搬入を禁止。その後、5月下旬から米国と共同で独自の支援物資配給を開始した。しかし、食料不足は改善されず、イスラエルは「国連が配給に協力してくれない」「物資がハマスに横取りされている」などと主張し、責任を国連やハマスに転嫁していた。
 しかし、国連はそもそも搬送についてイスラエルからの許可を得るのが困難だと訴えている。米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は26日、複数のイスラエル当局者の話として、ハマスが組織的に物資を奪っていたという「根拠はない」と伝えた。 

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