タイ・カンボジアの武力衝突続く=死傷者増加、住民13万人以上避難 2025年07月25日 17時18分

世界遺産のプレアビヒア寺院=2010年2月、カンボジア北部プレアビヒア州(EPA時事)
世界遺産のプレアビヒア寺院=2010年2月、カンボジア北部プレアビヒア州(EPA時事)

 【バンコク時事】24日に始まったタイ・カンボジア国境地帯での武力衝突は25日も続いた。タイの民間人死傷者が増える一方、カンボジアでも新たに犠牲者が判明。これまでにタイの住民13万人以上、カンボジアの数千人が避難した。タイ政府は同日夜、衝突が起きている地域とは別の国境地域に戒厳令を出した。
 タイ保健省によると、これまでの死者は東北部シーサケート県などの民間人13人と兵士1人で、負傷者は45人となった。カンボジア北部ウッドーミアンチェイ州の報道官によると、同州では民間人1人が死亡し、5人が負傷。タイメディアは、カンボジアでは合計で民間人5人と兵士19人が死亡したと報じた。
 衝突は24日に始まり、カンボジア軍はロケット弾でタイ側を攻撃。病院やコンビニなどに着弾して犠牲者が出た。タイ軍はF16戦闘機などでカンボジア領内を空爆した。両軍は25日早朝から再び複数の地点で衝突した。
 タイ政府報道官は、カンボジアの事実上の最高権力者フン・セン上院議長を名指しして「無実のタイ人を攻撃した」と非難した。
 カンボジア政府は、タイ軍が多数の小さな爆弾を広範囲にまき散らすクラスター弾を使用したとする声明を発表し、「国際人道法に反する」と主張。係争地であるカンボジアの世界遺産プレアビヒア寺院遺跡の建造物と周辺にも重大な損害が出ており、文化財保護に関するハーグ条約違反だと訴えた。
 両国が加盟する東南アジア諸国連合(ASEAN)の議長国マレーシアのアンワル首相は24日、タイのプームタム首相代行とカンボジアのフン・マネット首相に電話し、即時停戦を求めた。在タイ米大使館は「平和的手段による紛争の抑制を求める」とする声明を出した。 

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