日米関税交渉の行方楽観=防衛費増額は必要―ハガティ上院議員 2025年07月13日 14時18分

【ワシントン時事】第1次トランプ米政権で駐日米大使を務めたハガティ上院議員(共和党)は13日までに連邦議会内で時事通信のインタビューに応じ、相互関税の上乗せ分適用開始の新たな期限を8月1日に設定した日米関税交渉について、参院選を挟むものの「(強力な同盟関係にある)日米は合意に達する公算が大きい」との見方を示した。主なやりとりは次の通り。
―日米関税交渉の行方は。
主に農産物に焦点を当てた日米貿易協定や、重要な戦略的要素を持つ日米デジタル貿易協定など、過去の経験から貿易に関する合意は可能だと認識している。日本国内の参院選など政治的困難にもかかわらずだ。日本にとって米国ほど強力な経済・安全保障上の同盟国は存在しない。米国が恒常的に抱えている対日貿易赤字を考慮し、日本はこの機会を捉えるべきだ。
―日本の防衛費増額の必要性は。
アジア地域には北朝鮮、ロシア、中国が存在し、台湾海峡の緊張が高まっている状況を考えると、日本は防衛支出拡大に傾注する必要がある。しかし、単なる武器弾薬の調達ではなく、米国との相互運用性を高める方向に向けられるべきだ。重要なのは同じシステムを運用することであり、米国からの武器弾薬の購入はその点で役立つ。両国がより多くの共同演習を行い、日本や米国、同盟国の技術を交換する方法を検討することで、防衛支出を増やしつつ、地域全体の防衛態勢を強化できる。国内総生産(GDP)比3%への拡大は歓迎されるだろう。
―科学技術面での日米協力は。
ロボット工学や人工知能(AI)のような分野への投資は、日本にとって絶対的に必要だ。日本は少子高齢化で労働力が減少し、生産性の向上が必要だからだ。最も迅速な方法は優れたロボット工学、優れたAIを通じて行うことだ。関連産業である量子コンピューティングにも目を向ければ、日米は非常に緊密に協力できる。
―戦後80年を迎える日米関係の在り方は。
米国は安全保障面で引き続き日本を防護している。日本は防衛への投資を米国よりもはるかに少なくし、経済への投資を拡大し続けてきた。日本は完全に発展した経済大国となり、国際舞台では非常に真面目で尊敬されるリーダーになった。われわれは互いを必要としており、相互に利益が得られる。日米は世界最強の同盟関係の模範となるべきだ。
◇ウィリアム・ハガティ氏略歴
ウィリアム・ハガティ氏 バンダービルト大法科大学院修了。17年8月~19年7月に駐日米大使。20年上院選で出身地テネシー州から初当選。ボストンコンサルティンググループ勤務時に約3年間の東京駐在経験もあり、知日派として知られる。25年に旭日大綬章受章。