「保守の心臓」大邱に変化=野党、切り崩し狙う―韓国大統領選 2025年05月26日 06時22分

韓国大統領選(6月3日投開票)で支持率トップの革新系最大野党「共に民主党」の李在明前代表(60)が、保守系与党「国民の力」の金文洙前雇用労働相(73)にリードを許している地域が南東部の大邱市と同市に接する慶尚北道だ。「保守の心臓」と言われる同市では、過去の国政選挙でも保守系が革新系を押さえてきた。ただ、地元では「変化」を指摘する声も上がっている。
◇揺らぐ与党支持層
「大邱がとても変わってしまった。(金氏を)大統領にしようという雰囲気がなくて残念だ」。23日、大邱市の伝統市場「西門市場」の露店で服を売っていた与党支持者だという女性のテ・ジョンボクさん(73)は、こう声を落とした。
西門市場は金氏が12日の選挙運動開始後、初の遊説先に選んだ場所。韓東勲・前与党代表といった有力政治家も応援に訪れている。だが、テさんは「共に民主党の(街宣)車が3回来るとすれば、国民の力は1回しか来ない。党として盛り上げようという空気が感じられない」と嘆いた。
青果店を営む男性(73)は、金氏に一票を投じるつもりだと明かしつつも、「何か理由があるとすれば李在明という人間が嫌いだからだ」と述べ、積極的に支持できる候補がいないことへの不満を口にした。
李氏が尹錫悦前大統領に惜敗した前回の2022年大統領選で、大邱市・慶尚北道での李氏の得票率は20%台前半にとどまった。しかし、世論調査機関「韓国ギャラップ」によれば、同地域での李氏の支持率は今月16日の発表で34%を記録。23日発表では22%に減少したが、それでも善戦しているもようだ。
◇民主党、強気の目標
支持率が48~60%で推移する金氏には及ばないものの、共に民主党の地元選対幹部は「ボランティアに加わる人も増えた。前回とは雰囲気が全く違う」と手応えを語る。「大邱では5%上げるのがかなり難しいと言われるが、(得票率)25%以上を目指す」と意気込んだ。
尹氏による「非常戒厳」宣言を受け、若い層を中心に与党への失望感が広がったことも影響したとみられる。同市の慶北大に通う女性(20)は、もともと支持政党はないというが、「戒厳への対応や政策面で判断し、李在明氏に投票するつもりだ」と明言した。
国民の力は、保守系候補の一本化を巡る対応などで選挙活動の出遅れが目立ったものの、最近になり、大邱市・慶尚北道を中心に金氏の支持率に回復傾向がみられる。金氏は24日、同地域を回り、保守系の象徴的存在の朴槿恵元大統領と大邱市の私邸で面会。「(党を)一つにまとめることが重要」と激励を受けた。「支持層の結集」(同党幹部)を図った形だ。(大邱=韓国=時事)。
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