「黄金ビザ」で富裕外国人誘致=トランプリスク回避に一役―NZ 2025年05月26日 06時04分

ニュージーランド南島のクライストチャーチの街並み=2023年10月
ニュージーランド南島のクライストチャーチの街並み=2023年10月

 【シドニー時事】ニュージーランド(NZ)政府がビザの要件を緩和し、富裕外国人の誘致に力を注いでいる。NZに高額投資を行う外国人に長期の居住を認める「黄金ビザ」を4月から発給。経済成長につなげることを狙う。申請者の約半数は米国人で、トランプ政権の高関税政策などに伴うリスク回避にNZが一役買っているもようだ。
 黄金ビザの要件は(1)事業や投資信託に3年間で500万NZドル(約4億2500万円)を出資(2)債券や不動産開発を含む幅広い投資を5年間で1000万NZドル(約8億5000万円)実施―のいずれか。配偶者や25歳未満の子の帯同も可能で、3~5年たてば永住権を申請できる。ラクソン首相は「ビジネスを強化し、成長を加速させる」と意義を強調している。
 NZ移民局によると、5月中旬までに104件(346人)の申請があり、既に42件が承認された。承認分だけで6億2000万NZドル(約530億円)以上の投資が見込まれている。米国からの申請は55件(168人)で、中国(香港含む)の27件、ドイツの7件を引き離した。トランプ政権を嫌って米国を脱出したい人の応募が集中したとみられる。
 欧州では同種の富裕層向けビザが廃止・縮小される流れにある。投資家に市民権を与えるマルタの制度は欧州司法裁判所から欧州連合(EU)法違反と判断された。オーストラリアも移民受け入れを厳しくしており、NZの動きは新たな投資先を求める外国人には渡りに船。ビザ仲介業者は「NZは資本の安全な避難場所」とアピールしている。 

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