万博展示はガザ情勢に触れず=イスラエルとパレスチナ、確執も 2025年05月24日 07時50分

大阪・関西万博のイスラエル館を訪れた同国のサール外相=15日、大阪市此花区
大阪・関西万博のイスラエル館を訪れた同国のサール外相=15日、大阪市此花区

 パレスチナ自治区ガザで大規模な軍事作戦を展開するイスラエルと、これに猛反発するパレスチナは、いずれも大阪・関西万博に出展している。展示でガザ情勢には触れず、来場者に対してそれぞれの立場でメッセージを発信している。
 イスラエルは5月15日を万博の「ナショナルデー」に設定。この日は1948年にイスラエルが建国された5月14日の翌日で、パレスチナにとっては70万人以上が故郷を追われた「ナクバ(大惨事)」の日に当たる。
 イスラエルの15日の式典は厳重な警備体制のもとで行われた。日本国際博覧会協会は事前に式典の情報を公開しなかったが、会場外ではパレスチナ旗を掲げ抗議する人もいた。
 イスラエル館では、同国の最新技術とともに、約2000年前にユダヤ人がエルサレムで築いた要塞(ようさい)の一部とされる石などを展示。15日に同館を訪れたサール外相は、石の存在などを根拠に「古代遺産の研究によって、イスラエルの民が現在の地にいたことがはっきり分かる」と主張した。東エルサレムを将来の首都と位置付けるパレスチナ側は、エルサレムにおけるパレスチナ人の存在を無視するかのような展示内容に反発している。
 一方、パレスチナ館ではモザイクアートや陶磁器、貝細工の置物などの伝統工芸品を展示。万博では、ウクライナがロシアの侵攻による惨状を訴える展示を行って注目を集めているが、パレスチナはあえてガザでの戦闘に触れなかった。
 これについて、駐日パレスチナ常駐総代表部のシアム大使は「政治的な内容にしたくなかった。イスラエルの戦争犯罪の物語に対抗することはしたくなかった」と述べ、来場者にパレスチナの魅力を伝えることに主眼を置いたと説明している。 

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大阪・関西万博のパレスチナ館に展示されている陶磁器=23日、大阪市此花区
大阪・関西万博のパレスチナ館に展示されている陶磁器=23日、大阪市此花区

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