ゾウやライオンも「引っ越し」=密売組織抗争で危険迫る―メキシコ 2025年05月23日 07時21分

メキシコ北西部シナロア州から沿岸部の牧場に移送されるゾウ=20日(AFP時事)
メキシコ北西部シナロア州から沿岸部の牧場に移送されるゾウ=20日(AFP時事)

 【サンパウロ時事】メキシコ北西部シナロア州で、麻薬密売組織の抗争激化に伴い治安が急激に悪化したあおりで保護施設に収容されている動物に危険が迫り、安全な場所への移送が決まった。ゾウやライオンを含む多数の動物の「引っ越し」が始まった。
 同州ではメキシコ最大級の麻薬密売組織「シナロア・カルテル」の内部抗争が昨年から激化し、殺人事件や銃撃戦が頻発している。州都クリアカン郊外の施設は、組織のメンバーが「力の象徴」として違法に飼育していた動物などを保護してきた。最近は組織から施設への脅迫が繰り返され、治安の悪化でスタッフが施設に通うことも困難になり、動物の健康を巡る懸念も高まった。
 州政府によると、200キロ以上離れた州南部マサトランに21日、動物を受け入れるために12億ペソ(約90億円)を投じた民間施設が開設された。コンテナなどを使った陸路による動物の移送は20日に始まり、完了までに1カ月半かかる見通し。クリアカンの施設責任者は地元メディアに、移送を「21世紀のノアの箱舟」と位置付け、「避難ではなく、抵抗、愛情、尊厳のための行動だ」と訴えた。 

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