トランプ減税、格差を拡大=低所得者支援削減―米 2025年05月22日 20時49分

【ワシントン時事】米議会下院が22日可決したトランプ大統領肝煎りの大型減税法案には、財政の悪化を抑制するため、低所得者向け支援の削減が盛り込まれた。減税は富裕層へのメリットが大きい一方で、社会問題化している貧富格差を一段と広げる恐れがある。
議会予算局(CBO)が示した試算では、減税が実現すれば2026~34年度にかけて所得上位10%では資産が増える。対照的に下位10%は減る見込みだ。
CBOによると、減税による財政悪化を抑えるため、低所得者向け医療支援「メディケイド」で連邦政府の拠出額が6980億ドル(約100兆円)減る。低所得者向け食料支援制度への支出も2670億ドル削られる。このため、所得下位10%は27年度に収入が2%減る一方、上位10%は4%増える見通しという。
メディケイドは「7000万人超」(米紙)の貧困家庭や障害者といった社会的弱者を支える。トランプ氏は、これまで一貫してメディケイドや社会保障の削減を否定していた。だが、減税法案の採決を控えた20日、「削減しているのは無駄や不正、乱用があるところだ」と言い張った。