ガザに食料支援物資搬入=住民に届けば3月以来―「なお不十分」とWFP 2025年05月22日 20時33分

21日、イスラエルとパレスチナ自治区ガザ境界のケレム・シャローム検問所近くで、支援物資を積んだトラックのそばに立つイスラエルの国境警備隊員(ロイター時事)
21日、イスラエルとパレスチナ自治区ガザ境界のケレム・シャローム検問所近くで、支援物資を積んだトラックのそばに立つイスラエルの国境警備隊員(ロイター時事)

 【イスタンブール時事】国連の世界食糧計画(WFP)は22日、パレスチナ自治区ガザ向けの食料支援物資がガザ域内の倉庫に到着したと明らかにした。実際に支援が住民に届けば、イスラエルが3月初旬に物資搬入を禁じて以降で初となる。ただ、入域が認められたのはトラック約90台分で、WFPは「皆を支援するには十分ではなく、もっと食料が必要だ」と訴えた。
 ガザでの食料不足が深刻化し、国際社会から支援再開を求める圧力にさらされたイスラエルは今月18日、物資搬入を2カ月半ぶりに許可すると表明。19日に小麦粉や離乳食などを積載したトラックが、南部のケレム・シャローム検問所に到着したが、国連はイスラエルによる複雑な手続きのため、物資が検問所に留め置かれていると苦言を呈していた。
 国連によると、今年1月に発効した6週間の停戦期間中は、1週間当たり4000台のトラックがガザに入っていた。イスラエルが今回認めた支援は現地で必要とされる量から程遠く、「大海の一滴だ」(フレッチャー国連事務次長)と批判されている。
 一方、イスラエルとイスラム組織ハマスの停戦交渉は、行き詰まりの状態が続いている。同国のネタニヤフ首相は、21日の記者会見で「人質解放のための一時停戦という選択肢があるなら、その用意がある」と指摘。恒久停戦を主張するハマスに妥協を迫る狙いとみられる。
 イスラエル軍は今月中旬以降、ガザへの攻勢を強めている。地元メディアによれば、ネタニヤフ氏は会見で「現在の作戦が終了する時には、ガザ全域がイスラエルの統制下に置かれ、ハマスは打ち砕かれているだろう」と語った。 

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