停戦不発、突破口開けず=仲介離脱に現実味―トランプ氏 2025年05月20日 19時01分

【ワシントン時事】トランプ米大統領は、ロシアのプーチン大統領との電話会談でウクライナでの即時停戦を迫ったが、不発に終わった。停滞する停戦交渉の突破口を開くことができず、打つ手を失いつつある。繰り返し警告してきた交渉仲介からの離脱も、現実味を帯び始めている。
「大きなエゴが絡んでいる。何も起きなければ私は手を引くだけで、彼らは(戦争を)続けていかなければならない」。トランプ氏は19日、プーチン氏との会談後にホワイトハウスで記者団に対し、停戦交渉が暗礁に乗り上げていることを示唆。今後も進展がなければ仲介から離脱すると、改めて警告した。
思うように交渉が進まない事態に、トランプ氏はいら立ちを強めてきた。4月にはウクライナ攻撃を続けるプーチン氏に「ウラジーミル(プーチン氏)よ、やめろ」と呼び掛け、今月8日にはロシアとウクライナ双方に「30日間の無条件停戦」を要求した。
だが、トランプ氏が「攻撃をやめるべき時だ」と説得したにもかかわらず、プーチン氏は聞き入れなかった。「(プーチン氏と)会うまでは何も起こらないだろう」と、トランプ氏が意欲を示していた対面での首脳会談に関しても、実現のめどを付けられないまま終わったもようだ。
トランプ氏は電話会談後、自身のSNSで、停戦条件はロシアとウクライナの2国間で話し合うと表明。「バチカン(教皇庁)が交渉仲介に関心を示している」とも強調し、教皇庁の支援の下で直接協議を進めるべきだと主張した。
英紙フィナンシャル・タイムズ(電子版)によれば、トランプ氏はプーチン氏との会談後に行った欧州首脳との電話協議でも、停戦交渉を当事国に委ねると明言。プーチン氏が和平実現を拒否した場合に対ロ追加制裁を発動するかどうかも、確約しなかったという。
トランプ氏は、仲介離脱を決めるレッドライン(譲れない一線)について記者団から問われると「頭の中にあるが、明らかにはしない。交渉が一層難しくなるからだ」と語った。制裁強化に関しては「実施すれば事態を悪化させる」と述べ、消極的な姿勢に終始している。