CIAの海外工作明記=新情報「現時点で含まれず」―ケネディ暗殺文書 2025年03月20日 14時15分

ジョン・F・ケネディ元米大統領=撮影日・場所不明(AFP時事)
ジョン・F・ケネディ元米大統領=撮影日・場所不明(AFP時事)

 【ワシントン時事】米国立公文書館が1963年のジョン・F・ケネディ元大統領暗殺事件に関する機密文書を18日に新たに公開したことで、中央情報局(CIA)が海外の米大使館に外交官などと身分を偽り多数の工作員を送り込んでいた実態が浮き彫りとなった。ただ、現時点で暗殺に関する公式発表と食い違う新情報は確認されていない。
 ニューヨーク・タイムズ紙(電子版)は19日、「これまでのところ、ケネディ暗殺が(元海兵隊員リー・ハーベイ・オズワルドの)単独犯行だったとする説を覆す新情報は含まれていない」と伝えた。文書は文字がかすれて読みにくいものが多く、情報の分析には相当な時間がかかりそうだ。
 安全保障に関する公文書を収集している米民間団体「国家安全保障アーカイブ」は19日、「初めてCIAの秘密工作に関する記録が検閲なしで公開された」と評価した。92年に成立したケネディ暗殺に関する文書の公開を義務付けた法律を称賛し、「同法がなければCIAの記録は永遠に極秘のままだった」と指摘した。
 同団体は一例として、61年にシュレジンガー大統領特別補佐官(当時)が大統領に就任したばかりのケネディに報告した内容の文書を挙げた。文書は「世界の米大使館に勤務する政治担当官の47%」が秘密工作員だったとしている。海外に派遣されるCIA要員は約3700人で、国務省から在外公館に送られていた規模と「ほぼ同数」だったという。
 マコーンCIA長官(同)の政権幹部への報告をまとめた文書には、CIAが反共産主義工作のため、外国の選挙で特定の政治団体に資金提供していたことが書かれていた。中南米での工作活動を具体的に示した文書もあった。
 一方、オズワルドに関しては、91年に旧ソ連国家保安委員会(KGB)幹部が「資料を精査したが、オズワルドがKGB工作員だったことは一度もないと確信している」と語ったことが記された文書が公開された。
 トランプ大統領は、ケネディ暗殺に関する文書約8万ページを公開するよう指示。新たに公開された文書は19日夕(日本時間20日朝)時点で約6万3000ページで、今後追加される見通しだ。 

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