兵役逃れの俳優が入隊=王大陸氏、期間1年―台湾 2025年03月16日 14時31分

【台北時事】台湾の有名俳優、王大陸氏(33)が義務兵役を違法に逃れた疑いが持たれ、当局の命令を受けて13日に入隊した。軍事的威圧を強める中国をにらみ、台湾では兵役期間を昨年から1年間に延長したばかり。公平性を保つため、兵役逃れの摘発も進められている。
王氏は2015年公開の映画「私の少女時代」などに出演し、日本でも人気を博した。台湾の中央通信社によると、検察当局は先月18日、兵役逃れを有料で助ける不法グループや王氏ら顧客の計10人以上を関連法違反の疑いで一斉に逮捕。王氏は偽の病歴証明を入手するため100万台湾ドル(約450万円)を支払ったとされる。
その後保釈された王氏は今月13日、兵役に招集された他の若者らと同様に、台北駅の集合場所に到着。待ち構えた50人以上の報道陣が取り囲み、「反省する姿」(台湾人記者)を撮ろうと現場は騒然となったが、王氏は問い掛けに無言のまま中部・台中へ向かう列車に乗り込んだ。基礎的訓練を受けた後、配属先が決まる。
内政部(内務省に相当)は2月、兵役審査を受けた約80人の身体検査記録に疑問点が見つかり、検察が調べていると公表。兵役逃れは5年以下の懲役に処される恐れがあり、「法を犯してはならない」と警告している。
中国が敵視する民進党の蔡英文前政権は昨年1月、18歳以上の男性の義務兵役期間を従来の4カ月から1年に延長。後継の頼清徳政権も「防衛能力の強化」を重点政策に掲げる。