ウクライナ和平へ結束優先=ロシアに対等な停戦要求―「一つの中国」言及せず・G7外相会合閉幕 2025年03月15日 15時57分

【シャルルボワ(カナダ東部)時事】カナダ東部シャルルボワで開かれていた先進7カ国(G7)外相会合は14日、ウクライナに侵攻するロシアに対し「対等な条件下で停戦に合意し、完全に履行する」よう求める共同声明を採択して3日間の日程を終えた。トランプ米政権発足後、足並みが乱れていたG7だが、ウクライナ和平の実現を後押しするため結束を優先させた。
声明は11日のサウジアラビアでの米ウクライナ高官協議など、停戦に向けた取り組みを歓迎。ウクライナが米国提案の一時停戦案受け入れを表明したことを称賛した。
厳しいロシア非難は避けたが、停戦に応じない場合には追加制裁やウクライナ支援の強化など「ロシアにさらなるコストを課すことも議論した」と明記。停戦案を受諾するよう圧力をかけた。
トランプ大統領は和平実現に当たりウクライナが一部領土を放棄する可能性を排除していないが、声明は、欧州が重視するウクライナの領土保全への「揺るぎない支持」を再確認した。ロシアの再侵攻を防ぐ「安全の取り決め」の必要性も強調した。
G7は2月、ウクライナ侵攻3年の節目にテレビ首脳会議を開いたが、ロシアに融和的なトランプ政権と厳しい姿勢の欧州諸国の意見が対立し、声明をまとめられなかった。今回は米主導の停戦交渉が進行中で、G7の団結を成功につなげるため双方が譲歩した。
議長国カナダのジョリー外相は記者団に「G7の強い結束を確認することができた」と強調。ルビオ米国務長官も「声明には非常に満足している」と語った。岩屋毅外相は「非常に有意義なG7外相会合になった」と評価した。
声明はまた、台湾についても記載。台湾海峡の平和と安定の維持の重要性を強調する一方、昨年の会合では中国に対する配慮から盛り込んでいた「一つの中国」政策への言及を削除した。