米欧歩み寄りで声明採択=「ロシアにボール」で可能に―G7外相 2025年03月15日 14時48分

14日、カナダ東部シャルルボワで記者団の取材に応じるルビオ米国務長官(AFP時事)
14日、カナダ東部シャルルボワで記者団の取材に応じるルビオ米国務長官(AFP時事)

 【シャルルボワ時事】先進7カ国(G7)外相は14日、トランプ米政権がロシアに融和的な姿勢を取ってきたことで危ぶまれた共同声明の採択にこぎ着けた。ウクライナが米国提案の一時停戦案受け入れを表明し「ボールはロシア側にある」(ルビオ米国務長官)タイミングでの会合開催だったことが、米欧の歩み寄りとG7の結束を可能にした。
 ルビオ氏は外相会合閉幕後、記者団に「非常に力強い声明になった」と手応えを語った。声明はロシアに停戦案受諾を迫る内容で、応じない場合には追加制裁を科す可能性にも触れた。
 ルビオ氏は外相会合を控えた10日、ロシア側との停戦交渉の妨げになるとして「敵対的な言葉遣い」の共同声明には反対すると公言していた。だが、翌11日の米ウクライナ高官協議でウクライナ側が停戦案を受け入れたことで、状況が変化。トランプ大統領が目指す停戦実現に向け、ロシアに圧力をかける必要が生じた。
 欧州側はこの好機を捉えるため、米国が関与に消極的な停戦後のウクライナの「安全の保証」について、共同声明の中で、安全の「取り決め」と表現を弱めるなど米側に譲歩。中東情勢の項目でも、過去の声明で盛り込まれていたパレスチナ国家樹立を認める「2国家解決」に言及せず、親イスラエルのトランプ政権に配慮したとみられる。
 トランプ氏の返り咲き後、ロシアへの対応を巡って米欧は対立を深めている。今回は時宜を得て協調した形だが、トランプ氏は同盟国に対しても追加関税を課すなど「米国第一」の姿勢を堅持している。6月にはG7首脳会議(サミット)がカナダで開かれるが、それまでG7の結束が維持できるかは不透明だ。 

海外経済ニュース