「刑に服して」と犠牲者遺族ら=前大統領の逮捕受け―フィリピン 2025年03月15日 14時46分

フィリピンのドゥテルテ前大統領の「麻薬戦争」で巻き添え死するなどした犠牲者の遺族ら=12日、マニラ首都圏
フィリピンのドゥテルテ前大統領の「麻薬戦争」で巻き添え死するなどした犠牲者の遺族ら=12日、マニラ首都圏

 【マニラ時事】フィリピンのドゥテルテ前大統領(79)が大統領在任中の「麻薬戦争」で密売人の超法規的な殺害を命じたとして逮捕され、国際刑事裁判所(ICC)のあるオランダに移送されたことを受け、巻き添え死するなどした犠牲者の遺族らから「刑に服してほしい」と、相次いで声が上がっている。
 マニラ首都圏で記者団の取材に応じた女性(55)の息子=当時(15)=は、2016年に警察の意を受けた自警団による取り締まりに巻き込まれ、銃殺された7人のうちの1人だった。
 女性はドゥテルテ氏の逮捕を歓迎しながらも、「まだ法手続きが始まったばかり。息子を殺害した容疑者も含め、全員が刑務所に入るまで安心できない」と強調。その上でドゥテルテ氏について「彼は司法プロセスに基づいて裁かれるのだから、それだけでもラッキーだ」と語気を強めた。
 人材派遣会社に勤めていた息子=同(26)=が同年、警察の取り締まりの対象となり、殺害された女性も「違法薬物の監視リストに登録されていたわけでもないのに、許せない」と声を震わせた。ドゥテルテ氏が今月下旬に80歳になることに触れ、「私たちはもう誕生日を祝うことさえできない。来るのは命日だけ」と涙を拭った。 

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