「日本に約束守らせる」=防衛力強化や関税で圧力―米大使候補 2025年03月14日 14時10分

【ワシントン時事】トランプ米大統領から次期駐日大使に指名された実業家ジョージ・グラス氏は13日、上院外交委員会の承認公聴会で証言し、「日米関係の一層の強化へ精力的に取り組む」と意欲を表明した。一方、防衛力強化や米国産液化天然ガス(LNG)購入などで「日本に約束を守らせる」と述べ、厳しい姿勢でトランプ氏の「米国第一」外交を体現する構えを見せた。
グラス氏は「関税や(米国の)対日貿易赤字削減について、厳しい交渉を行う」と強調。2027年度に防衛費を国内総生産(GDP)比2%とする日本の計画について、石破茂首相が増額検討の可能性に触れたと指摘した上で、「双方にとって好ましい形になるよう(見直しを)協議したい」と語った。
中国の軍事力が飛躍的に増強し、「戦争にならないまでも、せめぎ合いに多大な費用がかかっている」と危惧。「間違いなく(米軍への)支援拡大について話すことになる」として、在日米軍駐留経費の日本側負担(思いやり予算)の増額を要求する考えを示唆した。日米とオーストラリア、インドの枠組み「クアッド」や、日米韓、日米フィリピンなどの多国間連携によって「中国を押し戻す」必要があるとも訴えた。
日本のサイバーセキュリティー拡充や、日本が購入した米国製兵器の納入の遅れといった課題にも言及。重要鉱物などのサプライチェーン(供給網)強化や、人工知能(AI)、先端技術面で日米の協力拡大に取り組む方針を示した。
人事が上院本会議で承認されれば、エマニュエル前大使の後任として速やかに着任する。
グラス氏は西部オレゴン州生まれ。投資銀行経営などを経て、トランプ政権1期目の17~21年に駐ポルトガル大使を務めた。妻メアリーさんとの間に3人の息子をもうけ、6人の孫がいる。長男ゴードンさん夫妻は日本に13年間住んでいるといい、「孫娘の近くで暮らせる」と喜びを語った。