弾劾・捜査に「立ち向かう」=尹大統領、審判で争う姿勢―野党、きょう訴追案再提出・韓国 2024年12月12日 08時47分
【ソウル時事】韓国の尹錫悦大統領は12日、国民向けの談話を発表し、3日夜に出した「非常戒厳」は野党による「反国家的悪行」を止めるための警告で、憲法に沿った決断だったと正当性を主張した。その上で尹氏は「弾劾であれ捜査であれ堂々と立ち向かう」と述べ、弾劾訴追されてもその後の憲法裁判所での審判で争う姿勢を示した。
尹氏は非常戒厳について、「高度な政治的判断」であり憲政秩序の破壊を意図したものではなかったと強調。選挙管理委員会が北朝鮮のハッキングを受けたにもかかわらず対処を拒否したため、金龍顕前国防相に選管システムの点検を命じたなどと説明した。
与党「国民の力」の韓東勲代表は談話発表を受けて「内乱を自白する内容だった」と指摘。党として弾劾に賛成すべきだと表明した。
最大野党「共に民主党」は7日に廃案となった尹氏の弾劾訴追案を12日に再び国会に提出する。採決は14日午後になる見通し。尹氏が「最後の瞬間まで国民と共に闘う」として弾劾審判に臨む考えを明らかにしたことで、弾劾訴追案可決の公算が大きくなった。
7日の弾劾訴追案の採決では、ほとんどの与党議員が議場から退場。投票数が規定に達しなかった。ボイコットに対する世論の見方は厳しく、与党は尹氏の早期退陣に向けた議論を開始。2025年2~3月に退陣という案が出ていたが、尹氏は談話で拒否する考えを明らかにした。
共に民主党は当初、11日に弾劾訴追案を再提出する予定だった。ただ、非常戒厳を巡る新たな証言が相次ぎ文言の整理に時間を要したため、12日に持ち越した。
与党内では、次回の弾劾訴追案の採決には参加すべきだとの声が高まっている。賛成票を投じると表明した議員も出ており、さらに増える可能性がある。
弾劾訴追案の可決には、在籍議員(定数300)の3分の2以上の賛成が必要。野党や無所属の議員計192人に加え、与党から8人の造反が出れば可決される。
警察も11日に大統領府の家宅捜索に着手するなど、尹氏に対する捜査を本格化させている。