安定的な新政府樹立に尽力=シリア暫定首相「民衆に奉仕」 2024年12月11日 14時35分
【イスタンブール時事】シリアのアサド政権崩壊後、反体制派が主導する暫定政権の首相に就いたバシル氏は10日、「人々が安定と落ち着きの中で暮らす時が来た」と述べ、安定した新政府樹立に尽力する考えを強調した。中東の衛星テレビ局アルジャジーラが報じた。
暫定政権は10日、初閣議を開催した。バシル氏はテレビ演説で「シリアの民衆に奉仕することができるよう、国の機関を再生させる」と強調。暫定政権にはアサド前政権のメンバーも加わり、来年3月1日まで任務を遂行するという。
バシル氏は、反体制派が拠点とした北西部イドリブ県で統治を担う「シリア救国政府」を率いた人物。アサド政権打倒の主力となった「シャーム解放機構」(HTS、旧ヌスラ戦線)指導者のジャウラニ氏と密接な関係にある。
ジャウラニ氏は英スカイニューズの取材に応じ、「国は再建へと動きだし、安定に向かっている」と明言。人々の恐怖はイランを後ろ盾とするレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラや、大量虐殺を行ったアサド前政権がもたらしたもので、「これらを除去するのが、シリアにとっての問題解決策だ」と強調した。
アルジャジーラは、首都ダマスカスで商店や銀行が業務を再開し、住民らが元の生活に戻りつつあると報じた。
こうした中、シリアに残る化学兵器などが過激派の手に渡ることを警戒するイスラエルは、シリア各地を攻撃。イスラエル軍は10日、過去48時間で武器製造施設などに計480回の空爆を加えたと発表した。
AFP通信によると、同国のネタニヤフ首相は10日、シリアの新政権に対し、前政権と同じ轍(てつ)を踏まないよう警告。「シリアでイランに再び影響力を持たせたり、ヒズボラに武器を渡したり、イスラエルを攻撃したりすれば、われわれは強硬に対応し、大きな代償を払わせる」とけん制した。