レバノン停戦、崩壊の危機=ヒズボラが初攻撃、イスラエルも反撃 2024年12月03日 18時50分
【カイロ時事】レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラは2日、イスラエルの軍事関連拠点を標的に「警告攻撃」を加えたと明らかにした。11月27日のレバノン停戦発効後、ヒズボラによる攻撃は初とみられる。イスラエルはこれを受け、レバノン各地にある数十カ所のヒズボラ拠点を空爆。レバノン保健省は少なくとも9人が死亡したと発表した。今後も攻撃の応酬が続けば、停戦は事実上崩壊の危機に追い込まれる。
イスラエルは停戦発効直後からヒズボラ側に「停戦違反」があったとして、散発的に攻撃してきた。ヒズボラも2日の攻撃について、イスラエルによる度重なる「停戦違反」を理由とした。イスラエルメディアは、ヒズボラが迫撃砲2発を発射したが、空き地に落下し負傷者はいなかったと伝えた。ただ、ネタニヤフ首相は「強力な対応」を宣言していた。
ヒズボラからの委託を受け停戦交渉に携わったレバノンのベリ国民議会(国会)議長は、同国政府の集計として、イスラエル側の停戦違反が少なくとも54回あったと述べた。一方、イスラエルのサール外相は2日、X(旧ツイッター)に「イスラエルは停戦を破っていない。(レバノン南部の)リタニ川の南側にヒズボラ戦闘員がいることが、根本的な(停戦)合意違反だ」と投稿した。
停戦合意によれば、60日間でレバノン軍が同国南部に展開するとともに、イスラエル軍は徐々に南部から撤退する。ヒズボラはリタニ川以北に撤収しなければならない。
停戦を仲介した米政府のミラー国務省報道官は、2日の記者会見で「停戦の初期は不安定になることが多い」としつつ、暴力を減らすことにはおおむね成功しているとの認識を強調した。また、AFP通信によると、レバノンの旧宗主国フランスのバロ外相は同日、サール氏と電話会談し「レバノンの停戦をすべての当事者が尊重する」必要性を訴えた。