「ありがとう」「忘れない」=ローマ教皇葬儀で手向け 2025年04月26日 18時30分

【バチカン市時事】バチカン市で26日に行われたフランシスコ・ローマ教皇の葬儀は、会場を目指して各地から大勢の人々が詰め掛けたほか、テレビ、インターネットで全世界に生中継・配信された。庶民を愛し、庶民に愛された教皇。働きづめだった「地上での旅」の最後に、信者からも、そうでない人からも、「ありがとう」「忘れない」と、心からの手向けの言葉が贈られた。
「教会は野戦病院だ」と断言し、「貧しい者、排除された者」に手を差し伸べた教皇。ただ、葬儀は世界の首脳の参列により異例の厳戒態勢となった。一帯は身動きもままならない25万人の人混み。配置に就いた警察官らは不審者がいないか懸命に目を光らせた。
教皇の遺体を乗せた霊きゅう車は葬儀後、墓地に指定されたローマ市中心部のサンタマリアマッジョーレ大聖堂に向けてバチカンを出発。円形闘技場遺跡コロッセオの前など約4キロをゆっくり進み、推定15万人が沿道から別れを告げた。
イタリア北部フェラーラに住むブラジル出身のカトリック教徒アンドレ・ハモスさん(28)はバチカンを訪れ、「教皇からは質素に、謙虚に生きる大切さを教わった。感謝しかない」と話した。
ローマ在住で学校勤務のアニェーゼ・ルッジェーリさん(57)は「教皇はごく普通の人。人間味にあふれているところが好きになった」といい、「戦争に反対し、平和を追求する姿に心を打たれた」と振り返った。
マレーシアでマーケティングの仕事をしているユニス・チュアさん(32)は、知人とローマ旅行中に教皇の訃報に接し、「衝撃を受けた」。信者ではないが、「人々の記憶に残る教皇。その教えは何世代も語り継がれると思う」と、存在の大きさをかみしめた。