見えぬアジア戦略=対中国で一貫性欠く―トランプ政権100日 2025年04月26日 14時37分

トランプ米大統領(左)と中国の習近平国家主席(AFP時事)
トランプ米大統領(左)と中国の習近平国家主席(AFP時事)

 【ワシントン時事】トランプ米政権のアジア戦略は、発足から間もなく100日を迎える今も見えないままだ。トランプ大統領は最大の競争相手と位置付ける中国に敵対的構えを示したかと思えば、一転して態度を軟化させるなど、一貫性を欠く対応に終始している。
 「私は強硬姿勢は取らない。中国の習近平国家主席とはとても良い関係だ」。トランプ氏は22日、中国からの輸入品に145%の追加関税を課しておきながら、話し合いに応じるよう水を向けた。
 トランプ氏は安全保障でも、圧力をちらつかせつつ「ディール(取引)」を追求している。3月に日本やフィリピンを訪問したヘグセス国防長官は、対中抑止力の強化を目指す方針を強調。一方でトランプ氏は、核兵器削減に向けて習氏と協議したいという意向を示している。
 トランプ氏の脅しと甘言は、同盟関係にある日本にも向けられた。2月の石破茂首相との首脳会談では「日米関係は最も緊密な安保協力の一つだ」と称賛。しかし3月には、「われわれは日本を守らなければならないが、日本はわれわれを守らない」と不満を口にした。コルビー国防次官(政策担当)も防衛支出を国内総生産(GDP)比3%に早期に引き上げるよう日本に求めた。
 シンガポールのウン・エンヘン国防相は2月のミュンヘン安全保障会議で、米国のイメージが「(第2次大戦時の)『解放者』から『破壊者』へ、さらに『家賃を取り立てる大家』へと変わった」と指摘。インド太平洋地域で米国への信頼が低下していると語った。
 トランプ氏は中米パナマを威嚇し、中国の巨大経済圏構想「一帯一路」から離脱させた。今月16日のFOXニュースのインタビューでは、パナマ以外の国にも中国か米国かの選択を迫るのかと問われ、「彼らはそう(選択)すべきだ」と述べた。ウォール・ストリート・ジャーナル紙も、米国が各国との関税交渉で中国との取引制限を求める方針だと報じた。
 ただ、中国との結び付きが強いアジア各国に米中のいずれかを選ぶよう迫れば、かえって離反を招く可能性もある。米シンクタンク「スティムソン・センター」のロバート・マニング特別研究員は米誌フォーリン・ポリシーで「支離滅裂な政策が中国の(アジアでの)台頭を加速させている」と批判した。 

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ホワイトハウスで会談する石破茂首相(左)とトランプ米大統領=2月7日、ワシントン
ホワイトハウスで会談する石破茂首相(左)とトランプ米大統領=2月7日、ワシントン

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