頼清徳・台湾新総統、信念強い親日家=市長時代、安倍氏と接点 2024年05月20日 14時15分

安倍晋三氏の葬儀に参列する台湾の頼清徳副総統(当時)(中央)=2022年7月、東京都港区の増上寺(AFP時事)
安倍晋三氏の葬儀に参列する台湾の頼清徳副総統(当時)(中央)=2022年7月、東京都港区の増上寺(AFP時事)

 【台北時事】台湾で20日に就任した頼清徳新総統は、炭鉱労働者の家庭で6人きょうだいの5番目として生まれた。幼い頃に父を炭鉱事故で亡くし、貧困の中で勉学に励んだ苦労人。内科医を経て、逆境に負けない強い信念を貫き、政界の頂点に立った。
 「たくさんの子供が遊んでいる場所でも彼は本を読んでいた。そんな自律的な子は当時ほかにいなかった」。地元テレビの取材に、頼氏の実家の隣人は幼少期の頼氏をこう回想した。「真面目でいちず」(頼氏周辺)な性格は今も健在。半面、柔軟性に欠け「頑固」とも評される。
 台湾で初めて直接選挙で総統選が実施された1996年、中国が台湾周辺にミサイルを発射して威嚇した「台湾海峡危機」に衝撃を受け、政界への転身を決意した。すぐに民進党のホープとして注目され、立法委員(国会議員)を4期、南部・台南市長を2期務めた後、蔡英文政権の行政院長(首相)に抜てき。2020年総統選では、党内予備選で蔡氏に敗れて立候補を断念した。
 米国に留学した経験がある一方、親日家としても知られる。台南市長だった16年に同市で発生した地震で、当時の安倍晋三首相が直ちに援助を表明し人員を派遣したことに深く感謝。22年、銃撃され死去した安倍氏の葬儀に参列するため現職副総統としては異例の訪日を行った。 

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