活動家死亡に内外から批判=不敬罪で25人拘束―タイ 2024年05月19日 14時16分

死亡したタイの女性活動家ネティポーンさん(中央)=2020年9月、バンコク(ロイター時事)
死亡したタイの女性活動家ネティポーンさん(中央)=2020年9月、バンコク(ロイター時事)

 【バンコク時事】タイで王室改革を訴える女性活動家が拘束中にハンガーストライキを実施して死亡したことを巡り、国内外から政府や司法に対する批判の声が上がった。不敬罪で少なくとも25人が拘束中で、人権団体は早期の解放を求めている。
 活動家のネティポーンさん(28)は2022年に王室に関するアンケートを実施したところ、不敬罪で起訴された。今年1月に拘束された直後から司法改革を求めてハンストを実施し、今月14日に心停止で死亡した。
 ネティポーンさんの死を受け、バンコクで開かれた追悼集会で、参加者は司法当局の対応を批判した。ドイツのエルネスト・ライヒェル駐タイ大使はX(旧ツイッター)に「政治的意見の相違が、これほど悲惨な結果に発展しないことを願う」と投稿した。
 タイでは20年以降、王室の在り方に疑問を持つ若者らによるデモが頻発した。政府は事態を沈静化するため、最長15年の禁錮刑が科される不敬罪をしばしば適用。人権派弁護士団体によると、20年11月から今月10日までに不敬罪で起訴されたのは、18歳未満も含めて少なくとも272人に上る。このうち現在も拘束されているのは25人で、団体は「早期の解放が必要だ」と訴えている。
 タイは国連人権理事会の理事国への立候補を表明しているが、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)はネティポーンさんの死後、Xへの投稿で「表現の自由と平和的な集会は基本的な権利だ」と強調した。 

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不敬罪で拘束中の活動家らの解放を訴えるタイの人権団体が作成した展示。中央は死亡したネティポーンさんが描かれたパネル=2月2日、バンコク
不敬罪で拘束中の活動家らの解放を訴えるタイの人権団体が作成した展示。中央は死亡したネティポーンさんが描かれたパネル=2月2日、バンコク

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