中国にらみ「同盟網」強化=日米、比支援で結束―負担共有、問われる覚悟・3カ国首脳会談 2024年04月12日 15時13分

11日、ワシントンで開かれた日米比首脳会談(ロイター時事)
11日、ワシントンで開かれた日米比首脳会談(ロイター時事)

 【ワシントン時事】日米とフィリピンの3カ国は初の首脳会談を通じ、経済・軍事両面で協力を深めることで一致した。南シナ海への海洋進出の野望を隠さない中国に対し、日米が結束してフィリピンを支える姿勢を強調。バイデン米政権は「同盟網」強化を図り、「唯一の競争相手」と位置付ける中国に対抗する。
 「新たなパートナーシップの時代の始まりに当たり、二人に集まってもらったことを光栄に思う」。11日、ホワイトハウスのイーストルームで開かれた会談で、バイデン大統領は岸田文雄首相とマルコス比大統領を歓迎し、3カ国の連携強化を呼び掛けた。
 3首脳の念頭には、中比が領有権を争う南シナ海の問題がある。この海域のアユンギン(中国名・仁愛)礁周辺では、中国海警局の艦船がたびたび比船舶を妨害し、「危険で攻撃的な行動」(3カ国首脳)を繰り返す。各国の間では軍事衝突への懸念が深まる。
 マルコス氏の頼みは同盟国・米国だ。バイデン氏は会談で「南シナ海でのフィリピンの航空機、船舶、軍に対するいかなる攻撃にも相互防衛条約を発動させる」と表明。岸田氏と共にフィリピンとの防衛協力や経済連携を強化する姿勢を打ち出した。
 バイデン政権にとって、東・南シナ海を抱える日本とフィリピンは、中国と対峙(たいじ)する最前線の同盟国。米シンクタンク「アメリカン・エンタープライズ政策研究所」のザック・クーパー上級研究員は「中国がいかに圧力をかけようが、米国は日本といった同盟国とフィリピンを支えていくというメッセージだ」と会談の意義を強調する。
 だが、米国が「格子状」に張り巡らせ、同盟国間の連携強化を図る背景には、超大国としての影響力が相対的に落ち込む中、同盟国と負担の共有を進めるという現実が浮かび上がる。
 3カ国首脳会談へと至る過程では、自衛隊と米比海軍の合同演習拡大に前のめりな比政府高官の発言に対し、日本側が否定的な見解を示すこともあった。抑止力強化を急ぐフィリピンとは対照的に、自国周辺海域での任務に追われる日本防衛当局は慎重に取り組みを進めたい考えとみられ、微妙な温度差がうかがえる。
 岸田氏は11日、米議会での演説で「日本は今や米国のグローバルなパートナーとなった」と強調した。米国の負担をどこまで共有し、各国への関与を拡大することができるのか。日本は同盟国としての覚悟が問われている。 

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