日本人飛行士、2番手有力に=月面着陸、中国と競争 2024年04月11日 14時32分

宇宙航空研究開発機構(JAXA)とトヨタ自動車が共同で開発を進める月面探査車両「有人与圧ローバ」の模型=10日、ワシントン
宇宙航空研究開発機構(JAXA)とトヨタ自動車が共同で開発を進める月面探査車両「有人与圧ローバ」の模型=10日、ワシントン

 【ワシントン時事】バイデン米大統領と岸田文雄首相は10日、ホワイトハウスで会談し、日本人宇宙飛行士を月面に着陸させることで合意した。日本人による着陸を「米国人以外で初」とすることでも一致。米国人に次ぐ2番手として日本人が月に降り立つ可能性が高まった。
 バイデン氏は首脳会談後の記者会見で「2人の日本人宇宙飛行士が月に降り立ち、そのうち1人は米国人以外で初となる」と表明した。岸田氏は「私も宇宙への壮大な挑戦に胸を躍らせた一人だ」と歓迎した。
 米航空宇宙局(NASA)は現在進めている「アルテミス計画」で、2026年に再び米国人を月に送り込む予定。その後も継続的に月で活動する予定で、日本人の月面着陸は早くても28年以降になるとみられる。ハリス米副大統領は昨年12月、「20年代末までに外国人の宇宙飛行士を月面に送るつもりだ」と語っていた。
 一方、アルテミスに対抗して独自の月探査計画を進める中国は、30年までに自国民を月に送り込むと発表している。難易度の高い月の裏側への無人探査機着陸を世界で初めて成功させるなど、習近平国家主席が掲げる「宇宙強国」の実現に向けて着々と歩を進めている。
 NASAのアポロ計画で人類が初めて月に降り立ったのは1969年。それ以降、これまでに計12人が月の上を歩いたが、全員が米国人だった。
 アルテミス計画には日本や韓国、欧州など30以上の国・地域が参加。米国人以外にも門戸が開かれる中、欧州宇宙機関(ESA)の関係者は「2番手がどの国になるかが、各国の最大の関心事だ」と明かしていた。22年11月、国賓として訪米したフランスのマクロン大統領はNASA本部を訪れ、同席したハリス氏に「候補がいる」と自国の宇宙飛行士を紹介。昨年4月に訪米した韓国の尹錫悦大統領もNASAを訪れるなど、各国の「売り込み」が激化していた。
 そんな中で日本が2番手に選ばれた経緯は現時点で明らかではないが、日本側は見返りとして、宇宙航空研究開発機構(JAXA)とトヨタ自動車が共同開発中の月面探査車両「有人与圧ローバ(愛称・ルナクルーザー)」の提供を確約した。NASAのネルソン長官は10日の記者会見で「米国は独りぼっちで月を歩かない。日本と一緒に行くことを誇りに思う」と強調した。 

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10日、ワシントンで、米航空宇宙局(NASA)のネルソン長官(左)と談笑する宇宙飛行士の星出彰彦さん
10日、ワシントンで、米航空宇宙局(NASA)のネルソン長官(左)と談笑する宇宙飛行士の星出彰彦さん

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