米・イスラエルの亀裂拡大=ガザ休戦交渉に影響も 2024年03月26日 14時25分

国連安保理の議場で話をする米国のトーマスグリーンフィールド国連大使(左)とイスラエルのエルダン国連大使=22日、ニューヨーク(EPA時事)
国連安保理の議場で話をする米国のトーマスグリーンフィールド国連大使(左)とイスラエルのエルダン国連大使=22日、ニューヨーク(EPA時事)

 【カイロ時事】パレスチナ自治区ガザでの戦闘を巡り、国連安保理で25日採択されたラマダン(断食月)期間中の即時停戦を求める決議に米国が拒否権を行使しなかったことに、イスラエルが猛反発している。同国は予定していた米国への代表団派遣を撤回するなど亀裂が拡大。イスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘休止交渉の行方も、不透明感を増しそうだ。
 米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は25日、イスラエルの代表団派遣見送りについて、記者団に「非常に失望した」と表明した。一方、安保理での拒否権不行使は米国の政策の「転換を意味しない」とも指摘。ハマスが拘束する人質の解放に向け、あくまでイスラエル支援を継続する考えを強調した。
 イスラエルのメディアによれば、先に仲介国カタールで開かれたガザ休戦に関する高官協議では、米国が妥協案を提示。イスラエルがそれに応じる形で釈放するパレスチナ囚人の数を引き上げるなど、譲歩姿勢も見せていた。
 ハマスは決議後の声明で、包括的な停戦やイスラエル軍のガザ撤退など従来の要求を主張。イスラエル首相府は26日、妥協しないハマスの姿勢に、決議が悪影響を及ぼしたとの認識を示し、ハマス壊滅など「戦争目的を達成する」と改めて表明した。米国は150万人が暮らすガザ最南部ラファ侵攻計画の撤回を事実上求めていたが、両国の溝が深まる中、イスラエルの「歯止め」がかからなくなる恐れがある。 

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