マウイ島の高校生、宮城の被災地訪問=「火事からの復興に役立てたい」 2024年03月24日 14時20分

震災遺構「旧女川交番」を訪れ、交番を囲う壁の展示を見詰める米ハワイ州マウイ島の高校生ら=21日、宮城県女川町
震災遺構「旧女川交番」を訪れ、交番を囲う壁の展示を見詰める米ハワイ州マウイ島の高校生ら=21日、宮城県女川町

 100人が犠牲となった昨年8月の米ハワイ州マウイ島の山火事。特に被害の大きかったラハイナの高校生11人が18~24日の日程で宮城県を訪れ、東日本大震災の被災地で災害復興への取り組みを学んだ。地元の漁師や若者らとも交流。「経験をマウイの復興に役立てたい」と、今なおショック覚めやらない常夏の島の再生に力を尽くすことを誓った。
 一行は東松島、石巻両市、松島、女川各町を巡り、壊滅的被害から立ち直ったノリ養殖や森林保全などに関するワークショップに参加。津波で約800人が犠牲となった女川では慰霊碑や震災遺構の旧女川交番などを視察した。案内した地元在住の後藤大輝さん(29)の「一番高いところで50メートルを超える津波が来た。ほとんどの建物は流され、がれきの状態から地域の人たちで力を合わせて復興してきた」という説明に、焼け出された自分たちの体験を重ねて真剣に耳を傾けた。
 22日には地元住民らを前に、今回の訪問の成果を発表。「防潮堤など、津波に対応するまちづくりの戦略を学んだ。これも災害マネジメントの一環だと思う」と語ったのはエム・ジー・アバラさん(17)。山火事の際、救援に奔走していた医療関係者の姿に憧れ、災害マネジメントを学びたいとプログラムに参加した。今後は「医療の最前線に立てるよう、頑張っていきたい」と笑顔を見せた。
 セシリア・ローズ・スタイナーさん(18)は「ラハイナでは被災体験を住民で共有していないが、話し合わないと心理面の治癒は始まらない」と指摘する。今回、自分たちと似た境遇から立ち上がった宮城の人々とつながり、体験を共有したことで希望を持てたという。島に戻ってからは、「復興は可能だとコミュニティーに希望を与えたい。そして学んだ知見を生かして復興に関わっていきたい」と強調した。
 訪問を企画したのは公益財団法人米日カウンシル―ジャパン。東日本大震災時、米国から「トモダチ作戦」として多くの支援を受けたことへの恩返しとして計画した。運営を手伝った被災者の成澤みくさん(25)は「関わった(宮城の)被災者たちから前に進む原動力を感じ取って、希望を持って前に進んでほしい。そして、コミュニティー形成など今後、リーダーとして引っ張っていってほしい」と期待を込めた。 

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防潮堤の説明を受ける米ハワイ州マウイ島の高校生ら=21日、宮城県石巻市
防潮堤の説明を受ける米ハワイ州マウイ島の高校生ら=21日、宮城県石巻市
震災遺構「旧女川交番」を見学する米ハワイ州マウイ島の高校生ら=21日、宮城県女川町
震災遺構「旧女川交番」を見学する米ハワイ州マウイ島の高校生ら=21日、宮城県女川町
学校の歌を披露する米ハワイ州マウイ島の高校生=22日、宮城県東松島市
学校の歌を披露する米ハワイ州マウイ島の高校生=22日、宮城県東松島市

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