トランプ氏、資産差し押さえへ窮地=保証金690億円、支持者に無心―米 2024年03月24日 14時17分

トランプ前米大統領=5日、南部フロリダ州パームビーチ(AFP時事)
トランプ前米大統領=5日、南部フロリダ州パームビーチ(AFP時事)

 【ワシントン時事】トランプ前米大統領が不正な不動産取引でニューヨーク州地裁に巨額の支払いを命じられた民事訴訟で、資産差し押さえを阻止するのに必要な保証金4億5400万ドル(約690億円)の支払期限が25日に迫っている。同氏は支持者に献金を呼び掛けるが、資金繰りのめどが立った様子はない。11月の大統領選での返り咲きに向け、財政難が影を落とす。
 「正気でない連中がトランプタワーを奪おうとしている!」。トランプ氏が連日、「100万人の支持者たち」に宛てて献金をせがむメールには、窮状がにじむ。22日にSNSで「5億ドル(約750億円)近い現金がある」とうそぶいたが、代理人は保証金支払いは「現実的に不可能」と述べ、食い違う。
 米メディアによると、ニューヨーク州司法当局は21日、同州でトランプ氏の不動産差し押さえの準備手続きに入った。トランプ氏は州内にトランプタワーのような複合ビルやホテル、ゴルフ場などを所有している。
 トランプ氏は新たに、自身が率いるメディア企業を上場させ、30億ドル(約4500億円)超の資産を得ると報じられた。ただ契約上、半年間は株式売却ができないとされ、すぐに手元資金が増えるわけではない。実際に資産が差し押さえられれば「不動産王」のイメージは大きく傷つく。
 こうした中、大統領選で対決するバイデン大統領との資金力の差が開きつつある。2月末のトランプ氏陣営の手元資金は3350万ドル(約50億円)。これに対し、バイデン氏陣営では2倍超の7100万ドル(約107億円)に上り、激戦州でのCM放映などに支出を拡大している。
 米メディアによると、トランプ氏の政治資金団体は2月に調達額を上回る支出を行い、多くは訴訟費用だった。これから本格化する4件の刑事裁判でも多額の弁護士費用が予想され、資金難に拍車が掛かりそうだ。 

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