イスラエル、「支持なくてもラファ侵攻」=「世界で孤立」と米反発 2024年03月23日 05時56分

22日、イスラエル・テルアビブ近郊の空港で、記者団の取材を受けるブリンケン米国務長官(中央)(AFP時事)
22日、イスラエル・テルアビブ近郊の空港で、記者団の取材を受けるブリンケン米国務長官(中央)(AFP時事)

 【イスタンブール時事】イスラエルのネタニヤフ首相は22日公開した動画で、パレスチナ自治区ガザの最南部ラファへの地上侵攻について「米国の支持を得て実施したいが、やむを得なければ単独で行う」と述べ、米国の意向に反してでも作戦に踏み切る可能性を示唆した。イスラエルを同日訪問したブリンケン米国務長官はネタニヤフ氏との会談で、大規模侵攻に反対する立場を改めて伝えたが、双方の主張は平行線をたどっている。
 ネタニヤフ氏は「戦闘地域からの住民退避や人道支援の必要性を認識し、取り組んでいる」と主張。一方で、ラファにいるハマス大隊壊滅には地上侵攻が不可欠との考えを重ねて強調した。
 一方、ブリンケン氏は会談後、記者団に対し、国際社会が反発するラファ侵攻は「イスラエルを世界で一段と孤立させ、長期的な安全を危険にさらす」と指摘。「さらに多くの民間人が犠牲となり、人道支援も一層混乱する恐れがある」として自制を促した。
 ラファ侵攻に「深い懸念」(バイデン大統領)を表明してきた米国は、侵攻の代替案を検討している。イスラエルはバイデン氏の求めに応じ、ネタニヤフ氏側近のデルメル戦略問題相ら高官が来週訪米して具体策を協議する予定だが、両国の隔たりが解消するかは見通せない。
 イスラエルとハマスの戦闘休止と人質解放を巡る交渉は、22日も仲介国カタールで継続。ブリンケン氏は「溝は埋まりつつある」と説明したが、イスラエル当局者は地元メディアに「進展はない。前進させようと圧力をかける米国が、進展を取り繕っている」と懐疑的な見方を示した。
 AFP通信によると、昨年10月の戦闘開始後のガザでの死者は、現地保健当局の集計で22日までに3万2000人を超えた。 

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