ラファ侵攻の代替案協議=米国務長官、イスラエル訪問 2024年03月22日 19時22分

 【イスタンブール時事】ブリンケン米国務長官は22日、イスラエルを訪問し、ネタニヤフ首相と会談した。イスラエルはイスラム組織ハマスの壊滅を目指してパレスチナ自治区ガザの最南部ラファへの地上侵攻を準備しているが、米国は人道危機の悪化を懸念して反対を明言。ブリンケン氏は大規模な侵攻回避に向け、ネタニヤフ氏や戦時内閣メンバーと代替案を話し合ったとみられる。
 バイデン米大統領は18日のネタニヤフ氏との電話会談で、ラファ侵攻に「深い懸念」を伝達。ラファにいる住民約150万人の安全な退避計画などを繰り返し求めている。ブリンケン氏は会談後、記者団に対し、ラファ侵攻は「イスラエルを世界で孤立させ、安全と立場を危険にさらす」と述べ、イスラエルの軟化を促した。現地メディアによれば、ガザへの武器密輸阻止や人道状況改善による治安確保などが代替案として挙がっているという。
 ネタニヤフ氏は、近くラファからの住民退避計画を承認する方針だ。ブリンケン氏との会談後にSNSへ投稿した動画では、ラファのハマス大隊壊滅には地上侵攻が不可避との考えを伝えたとした上で、「米国の支援を得て実施したいが、やむを得なければ単独で行う」と強調。米国の意向に反してでも作戦に踏み切る可能性を示唆した。両国の主張の隔たりは大きく、来週予定されるイスラエル高官訪米でも妥協点で一致できるかは不透明だ。
 イスラエルとハマスの戦闘休止交渉では、同国交渉団を率いる対外情報機関モサドのバルネア長官が22日、仲介国カタールを再び訪問。ブリンケン氏は21日、エジプトでの記者会見で、交渉妥結への見通しについて「依然困難だが、可能だと信じている。(イスラエルとハマスの)溝は埋まってきている」と語った。イスラエル紙ハーレツは、ガザ南部から北部への住民帰還と支援の搬入・配給方法で双方が対立していると報じている。
 イスラエル軍は22日、ガザ最大規模のシファ病院での軍事作戦で、これまでにハマスや武装組織「イスラム聖戦」の戦闘員150人以上を殺害したと発表した。軍報道官は「テロリストが救急治療室に立てこもっている」として、作戦は今後数日間は続くとしている。 

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