ラファ地上侵攻は不可避=米大統領と溝埋まらず―イスラエル首相 2024年03月20日 06時30分

19日、パレスチナ自治区ガザ南部ラファでイスラエル軍の攻撃を受け破壊された自動車(AFP時事)
19日、パレスチナ自治区ガザ南部ラファでイスラエル軍の攻撃を受け破壊された自動車(AFP時事)

 【イスタンブール時事】イスラエルのネタニヤフ首相は19日、パレスチナ自治区ガザ最南部ラファへの地上作戦について「ラファにいる(イスラム組織)ハマスの大隊を壊滅するには地上侵攻以外に方策はない」と述べ、改めて実施に強い意欲を示した。バイデン米大統領は18日、ネタニヤフ氏との電話会談でラファ侵攻に「深い懸念」を伝えており、両者の溝は埋まっていないもようだ。
 イスラエルはハマスの主要幹部がラファに潜伏しているとみて、侵攻準備を進めている。ネタニヤフ氏は国会の外交・国防委員会で、「われわれも市民を円滑に退避させ、人道支援物資を届ける希望を(米国と)共有している」と強調。ただ、会談ではラファ進軍の必要性を巡りバイデン氏と「論争」になったと認め、「大隊壊滅への決意を極めてはっきりと伝えた」と明かした。
 カタールでは18日、イスラエルとハマスの戦闘休止交渉が再開され、仲介国を通じた間接協議が行われている。イスラエル当局者はイスラエル紙タイムズ・オブ・イスラエル(電子版)に「楽観的では全くない」と休戦実現に慎重な見通しを示しつつ、国内外から圧力が強まる中で「この機会を無駄にする余裕はない」と語った。
 一方、地中海の島国キプロスから「海上回廊」を利用した支援船の第1弾として運ばれた食料が19日、ガザ北部の住民に届けられた。食料を手配した米国のNGOによれば、国連の世界食糧計画(WFP)と協力してトラック8台、50万食分を運び込んだ。
 第2弾の船もキプロス南部を近く出港する予定だが、ガザの食料不足は依然改善の見通しが立っていない。 

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